乳幼児を伴う路線バス利用の際の障壁に関する研究
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2 2.既往研究のレビュー 乳幼児を伴うバス利⽤環境や、利⽤者および周辺の⼈の意識についての研究は近年、増加しつつある。 これらの研究の視点としては、①公共交通機関内でのベビーカー利⽤実態とそれを取り巻く環境に関する検討を⾏ったもの、②公共交通機関での乳幼児連れ利⽤に関する利⽤者や周辺の意識に関する検討を⾏ったもの、③⼦育て環境に関する意識の⼀環として公共交通利⽤や移動について検討を⾏ったもの、の3つに⼤別できる。 (1)公共交通機関におけるベビーカーの利⽤実態および環境に関する研究 [⻄本由紀⼦・上野勝代・梶⽊典⼦, 2010]は、関⻄の鉄道におけるベビーカー利⽤者の⾏動特性を分析し、利⽤上の問題点を明らかにしている。 [⻄本由紀⼦・上野勝代, 2012]は、鉄道⾞両内におけるベビーカーの取扱規定について、鉄道事業者と路線バス事業者にアンケート調査を実施し、鉄道事業者が⾞両内にベビーカーの設置場所などの明確な表⽰をしている例は極めて少ないこと、路線バスでは、都市圏を中⼼として、ベビーカーの固定設置場所を設け、⾞両内が混雑していない場合はベビーカーを広げたまま乗⾞しても良いと規定している事業者が多いことを明らかにしている。 [⻄本由紀⼦, 2013]は、公共交通機関におけるベビーカー利⽤についての調査結果について明らかにしている。 [松原淳・⾼橋徹・平岩浩之・⼩松崎昌⼦, 2014]は、バリアフリー化によって公共交通機関におけるベビーカー利⽤が増加していることを踏まえ、公共交通機関におけるベビーカー利⽤実態と事業者側の受け⼊れ体制の実態と課題について明らかにした結果、ベビーカー利⽤者は全乗客の2%を超える例があり、無視できない数であるが、受け⼊れ体制は不⼗分なままであることを明らかにしている。 [川村⻯之介・⾕⼝綾⼦・⼤森宣暁・⾕⼝守, 2015]は、公共交通機関において、優先席で席を譲る⾏動を促すアナウンスは優先席以外で席を譲る⾏動を阻害している可能性があることを明らかにしている。 [⽯井充・中嶋太⼀・鮏川佳弘・岡野俊豪, 2014]は、路線バスにベビーカーを拡げたまま乗⾞させた際に、急ハンドルや急停⽌時において固定していないベビーカーには前⽅移動や転倒の危険性があることについて、実際の⾞両を⽤いた実験を通じて明らかにしている。 (2)公共交通機関での乳幼児連れ利⽤に関する意識についての研究 [⾠⺒浩・堤⾹代⼦・⾹⼝恵美, 2012]は、第4回北部九州圏PTデータを⽤いた分析の結果、乳幼児を持つ⼥性は公共交通機関の分担率が低く、マイカーへの依存度が⾼いことを明らかにしている。 [⽠⽣朋恵・⻄本由紀⼦・梶⽊典⼦・上野勝代, 2013]は、ベビーカー利⽤者と⾮利⽤者を対象に、鉄道内におけるベビーカー利⽤に対する乗客の意識と、事業者が推奨するベビーカー利⽤ルールに対する意識の違いについて検討した結果、両者に世代間ギャップが存在していることが明らかにしている。また、その要因として、⼦育て経験の有無、性別などの個⼈属性が影響していることを明らかにしている。 [⼩林杏奈・⼤森宣暁・⾼⾒淳史・原⽥昇, 2013]は、公共交通利⽤において、混雑時、⾮混雑時における不快と感じる⾏為について国際⽐較した結果、「ベビーカーを折りたたまずに乗⾞する」⾏為は、混雑時において、欧州諸国は⽇本に⽐べ有意に不快と感じる割合が少ないこと、⾮混雑時には⽇本においても不快と感じる割合は少なく、欧州諸国もほぼ同様であること、「⼩さい⼦どもを連れて乗⾞する」⾏為は、混雑時・⾮混雑時とも⽇本と欧州で受け⽌め⽅に⼤差がないことをそれぞれ明らかにしている。 [⾠⺒浩・堤⾹代⼦・藤林航・吉城秀治, 2015]は、地⽅都市における公共交通での乳幼児連れ利⽤者の⾏動に関する意識を把
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