多様なモビリティ共存による低炭素交通の実現~ 次世代自動車の普及施策とその効果に関する検討 ~
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3トヨタ自動車(株)は、2015年10月14日に、持続可能な社会の実現に貢献するための新たなチャレンジとして、「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表した。「トヨタ環境チャレンジ2050」5)では、『気候変動、水不足、資源枯渇、生物多様性の劣化といった地球環境の問題に対し、クルマの持つマイナス要因を限りなくゼロに近づけるとともに、社会にプラスをもたらすことを目指して、「もっといいクルマ」「もっといいモノづくり」「いい町・いい社会」の3つの領域で6つのチャレンジ』を掲げている。チャレンジの1つである「<チャレンジ1>新車CO2ゼロチャレンジ」(図 1-2)では、ハイブリッド車(HV)の普及拡大に続き、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池自動車(FCV)、電気自動車(EV)の技術開発を加速させ、普及を目指すことで、2050年グローバル新車平均走行時CO2排出量を90%削減(2010年比)するという目標を掲げている。 図 1-2 トヨタ自動車の「新車CO2ゼロチャレンジ」のイメージ5) 現在では、多様な次世代自動車が市販されるようになっており、特に、HVは普通のクルマといわれるほど、普及が進んでいると考えられている。しかし、多くの自治体でCO2削減目標と実績値には大きな乖離が生じているのも事実である。 図 1-3に、豊田市のCO2排出量の推移6)と運輸部門CO2排出量削減に向けた課題を示す。豊田市の運輸部門(交通部門)のCO2排出量は、基準年である1990年と比較して増えており、2008年から2013年までの運輸部門のCO2排出量は、ほぼ横ばいで推移している。この要因の一つは、CO2排出量の推計手法にあり、次世代自動車の普及を反映できていないことにあると思われる。ただし、HVの普及がすすんでいるといっても、CO2削減目標に十分な台数の次世代自動車が普及しているのかという点も、考慮する必要がある。(次世代自動車の普及状況については、第2章を参照されたい) 例えば、運輸部門のCO2排出量を30%以上削減するという目標を、自動車保有台数や走行距離が変わらないまま達成しようとした場合、燃費が2倍以上良い(走行距離当たりのCO2排出量が1/2以下の)次世代自動車を60%以上普及させる必要がある。さらに、PHV、FCV、EVにおいても、エネルギーとして利用する電気の発電や水素の製造において、CO2が発生しており、日本の現状のエネルギー構成では距離当たりのCO2排出量において、HVと同程度の性能と考えられる。
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