多様なモビリティ共存による低炭素交通の実現~ 次世代自動車の普及施策とその効果に関する検討 ~
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436.まとめ 全国47都道府県の中で、愛知県は最も次世代自動車(ハイブリッド車)が普及している県であり、豊田市はその普及を牽引している自治体である。環境モデル都市である豊田市において、次世代自動車の普及は使命ともいえる。 しかし、ハイブリッド車を主として現状でも次世代自動車が普及してきている一方で、中長期的なCO2削減目標を達成するためには、さらなる早期大量普及を目指さなくてはいけないのも事実である。 そこで、本研究は、次世代自動車普及施策の策定支援の観点から、次世代自動車の普及状況、普及施策の動向整理、また、HV購入補助金による普及効果、HV普及要因の検討を行った。 その結果として、自治体の購入補助金がハイブリッド車の普及を促進したとの結論は得られなかった。これは、購入すべき購入層が購入していたともいえる。「ハイブリッド車への購入補助金はやめて正解だった」と肯定的に捉えることもできるが、現在も豊田市等で継続して実施されているプラグインハイブリッド車や燃料電池自動車、電気自動車等への補助金に関しても、今後の展開を検討する良い材料になったと考える。 また、ハイブリッド車の普及要因の検討から、世帯年収の影響が大きいことを明らかにした。ハイブリッド車を購入するポテンシャルの高い世帯の年収は700万円以上と考えられ、世帯年収が700万円未満の世帯に次世代自動車の購入を促すことができれば、次世代自動車の普及拡大につながると考えられる。 今後、プラグインハイブリッド車等への購入補助金申請件数は増えると予想されるが、限られた予算の中で、効果的に次世代自動車の普及拡大につなげるためには、潜在的に次世代自動車を購入するポテンシャルを持った購買層ではなく、その周辺にいる購買層をターゲットとした施策が必要である(図 6-1)。その際、米国カリフォルニア州で導入される「補助金受給者の世帯年収基準の設定」は、日本の自治体でも参考になると考える。 潜在的な次世代自動車購入ポテンシャル施策によるポテンシャルの拡大 図 6-1 施策による次世代自動車普及ポテンシャル拡大のイメージ

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