多様なモビリティ共存による低炭素交通の実現~ 次世代自動車の普及施策とその効果に関する検討 ~
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395-4.第5章のまとめ 高齢化率は、小型乗用車HV、普通乗用車HVの両方に対して負の要因となった。新技術への受容性が低いと考えられる高齢者のHV受容性を向上させる施策も必要であると考えられる。ただし、高齢化率は低年収世帯の割合や第1次産業就業者割合との関係もあることから、直接的な要因であるかは詳細な検討が必要であると考えられる。参考資料として、図 5-1に、高齢化率と世帯年収300万円未満世帯割合の関係を、図 5-2に、高齢化率と第1次産業就業者割合の関係を示す。 産業別就業者割合については、高い第1次産業就業者率は、小型乗用車HV普及の負の要因であり、高い第2次・第3次産業就業者率は、普通乗用車HV普及の正の要因となった。自動車産業に関連する第2次・第3次産業就業者がHV購入層になっていることが推測される。 世帯年収は、小型乗用車HVでは、年収700万円以上の世帯の割合が普及の正の要因となっており、普通乗用車HVでは、年収1,000万円以上の世帯の割合が普及の正の要因となった。HV乗用車の保有率は世帯年収との関連が強く、保有統計データを用いて、客観的に世帯年収と保有率の関連を分析できたことは、本研究の成果の一つであると考える。現在、普及が進んでいる世帯年収グループの裏返しとなるグループ、すなわち、世帯年収700万円未満の世帯をターゲットにした普及施策によって、購入層を拡大できる可能性があると考える。その点で、米国カリフォルニアで実施される補助金支給に世帯年収等の条件を設ける施策は、日本でも有効ではないかと思われる。 なお、参考資料として、HV普及率の高いみよし市、県庁所在地である名古屋市、豊田市、愛知県について、HV普及率、車種別保有台数割合、高齢化率、世帯年収割合を、ぞれぞれ、図 5-3、図 5-4、図 5-5、図 5-6に示す。HV普及率の高いみよし市は、高齢化率が低く、世帯年収700~1,000万円、世帯年収1,000万円以上の割合が高く、これらがHVの高い普及要因となっている。

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