自動運転普及がもたらす都市交通への影響調査
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857.自動運転に関係する諸問題の概観 前章までで、本研究では取り扱わない自動運転の技術的問題以外のADASの効果や導入意向や、レベル4の自動運転に対する受容性について検討を行った。これら以外の自動運転に関係する問題のうち、ここでは倫理に関する問題と法的な問題について概観する。それぞれ、哲学や法律の専門領域に含まれる内容であるが、社会受容性や都市交通のあり方を検討する上で有用と考えるため、取り扱うこととした。 7-1.倫理に関する問題の概観 自動運転に関わる倫理に関する問題については、国内外で様々な検討がなされている。中でもトロッコ問題と言われる、人命に関わる判断が求められる状況においてどのような判断を下すべきかという問題に、自動運転がどのように対応すべきかについての議論は数多くなされている。 Jean-Francois Bonnefon82)は、自動運転のトロッコ問題について1,928人に対するアンケート調査結果を用いて人々の考え方の分析を行った。その結果、他人が購入する自動運転には緊急時に事故の被害を最小化するような判断をする車が支持される一方、自分が乗車する自動運転にはその搭乗者を保護する車両を選択する傾向があることがわかった。こうした消費者の判断は、自動運転の普及を遅らせる可能性があることを指摘している。 資料:Jean-Francois Bonnefonら82) 図 7-1 自動運転におけるトロッコ問題のイメージ 82) Jean-François Bonnefon, et al.:The social dilemma of autonomous vehicles, SCIENCE, Vol 352, ISSUE 6293, 2016.6.

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