自動運転普及がもたらす都市交通への影響調査
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73Webアンケート調査の結果、1,480人から回答を得たが、回答内容を確認し、同一の選択肢ばかりを選択しているなど不自然な回答をしている回答者は、分析対象から除外した。その結果、分析対象サンプルとして1,250人を抽出した。 分析対象回答者1,250人の概要は次の通りである。平均年齢は59.3歳(SD=12.4) 、男性が1,025人で女性が225人、ADAS搭載者は578人、非搭載者は672人である。 (3)分析の流れ 先に示した仮説を検証するため、本研究では次の3種類の分析を行う。まず、個人属性や自動車の利用状況と、自動運転に対する賛否意識の関係について分散分析により分析する。次に、自動運転に対する態度や個人属性等の数多くの変数から特徴的な因子を抽出するため、因子分析を行う。さらに抽出された因子を用いてクラスター分析を行い、自動運転に対する態度や個人属性の特徴から回答者を複数のカテゴリに分類する。その結果から、第5節において自動運転の社会受容性の醸成方策を考察する。 1)分散分析 個人属性や自動車の利用状況、先進技術への態度、交通安全に関する実態の違いによる、自動運転に対する社会受容性、すなわち賛否意識の違いを分散分析により分析する。 ここで、自動運転の賛否意識は、Webアンケート調査では「自動走行が実現した社会が到来することに賛成である」という問いに対して5件法、すなわち「とてもあてはまる」から「まったく当てはまらない」までの5段階の順序尺度で回答を得ている。これはカテゴリ間の距離を適切に表現していない可能性があるため、シグマ値法(sigma method)を用いて順序尺度を間隔尺度に変換する。間隔尺度に変換した結果、下限値である「まったく当てはまらない」は0.000、上限値である「とてもあてはまる」が3.390に変換された。この指標を用いて分散分析を行う。 2)因子分析 自動運転に対する態度や個人属性等の数多くの変数から、特徴的な因子を抽出するために因子分析を行う。ここで、自動運転に対する態度としては、自動運転を利用したい場面、自動運転について関心があること、自動運転への期待する効果、自動運転について心配すること等とし、それぞれを表現する指標についての説明を表 6-1に示す。 ここで、いくつかの指標について説明を行う。AVsの利用シーンは、選択肢で提示した場面で自動運転を利用したいかどうかを、「とても利用したい」から「どちらでもない」を挟んで「全く利用したくない」までの5段階で質問した回答である。AVsへの関心は、選択肢で提示した項目について自動運転に関連して関心があるかを、「関心がある」か「関心がない」かについて質問した回答である。AVsへの期待は、選択肢で提示したAVsの効果について、「とても期待する」から「全く期待しない」までの4段階で質問した回答である。AVsの心配は、選択肢で提示した項目について「とても心配する」から「全く心配しない」までの4段階で質問した回答である。
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