自動運転普及がもたらす都市交通への影響調査
75/99

72また、自動運転に対する受容性についても複数の研究が行われている。自動運転というまだ世の中に十分に理解されていない段階における受容性の評価を行い、それに対する影響要因を考察している77)。自動運転のハンドルが自動で動くことにストレスを感じつつも、時間短縮や運転時のストレスを減らすために自動駐車を利用したいと考えている人が多いとの報告も存在する78)。さらに、自動無人バスの実証実験参加者に対する意識調査を行い、無人運転バスの受容性を分析している79)。これらの研究では、受容性への影響要因についての知見が得られているが、社会受容性の醸成方策については言及されていない。 そこで本研究では、日本における自動運転に対する社会受容性に関する意識調査結果を用いて、自動運転の社会受容性に影響する要因を分析するとともに、その結果を用いて社会受容性の醸成方策を考察する。このように、自動運転に対する賛否に与える要因を踏まえて社会受容性の醸成方策を考察することが本研究の特徴である。 6-3.分析の方法 (1)自動運転の受容性に関する仮説 既往研究では、自動運転の社会受容性に影響する要因として様々な指標が取り上げられている。本研究においても、それらの成果を取り入れて指標の設定を行うのに加えて、本研究独自の視点からの指標を追加する。 まず、個人属性として性別、年齢、職業、収入、自動車の利用状況として自動車の運転頻度、自動車の主な利用目的、運転の好き嫌い、運転に対する自信など、先進的な技術に対する態度としてADASの搭載状況、自動運転に対する認知度など、交通安全に関する項目として、危険運転度、交通事故経験、違反経験などを取り入れる。そして、自動運転に対する社会受容性を測る指標として、自動運転が社会に普及することに賛成か否かの質問を用いる。 さらに、自動運転に対する態度、すなわち自動運転に対してどのような意識を持っているのかも、社会受容性に影響する要因であると考え、自動運転に期待する効果、自動運転を利用したい利用シーン、自動運転について関心を持っていること、自動運転について心配すること、などを取り入れる。 (2)意識調査の概要 以上の仮説をもとにアンケートを設計し、意識調査を実施した。意識調査の詳細は第4章に示している。 77) Payre W., Cestac J., Delhomme P. : Intention to use fully automated car: Attitudes and a priori acceptability, Transportation Research Part F, 27, 252-263, 2015. <再掲> 78) Maurer, M, Gerdes, J. C., Lenz, B., Winner, H. : Autonomous Driving, Springer, New York, 2016. <再掲> 79) Piao, J., McDonald, M., Hounsell, N., Graindorge, M., Graindorge, T., Malhene, N. : Public views towards implementation of automated vehicles in urban areas, 6th Transport Research Procedia, 14, 2016. <再掲>

元のページ  ../index.html#75

このブックを見る