自動運転普及がもたらす都市交通への影響調査
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645-4.ADAS搭載者の特性分析 以上では、AEBSの搭載による交通事故削減効果について分析を行った。ここからは、AEBSやADASを搭載している人の特徴を分析し、今後さらにAEBSやADASの搭載を促進すべき対象について考察する。 AEBSやADAS搭載者の特徴を把握するため、アンケート回答者を次の4種類に分類し、それぞれの意識を分析する。 • AEBS積極的搭載者:AEBSの搭載理由として、交通事故の予防、運転時の負担軽減、新機能を体験、と回答した人 • AEBS消極的搭載者:AEBSの搭載理由として、他人に勧められた、希望の車種に標準装備されていた、行政補助があった、他人が決めた等と回答した人 • その他ADAS搭載者:AEBS以外の何らかのADASの機能を搭載している人 • ADAS非搭載者:ADASを搭載していない人 特徴を把握するために用いる指標は、運転に対する態度や交通規制に対する実態などを用いる。具体的には、運転の好き嫌い、運転に対する自信、危険運転度、補償運転度、性格(エゴグラムのNP:Nurturing Parent、養育的な親)、交通規制に対する認識(認知度)、交通規制の実践状況、とした。それぞれの指標を、上で設定した属性別に平均値を算出し、分散分析を用いて平均値の差の検定を行い、その結果から各属性の特徴を考察する。 分析結果を表 5-2に示す。AEBS積極的搭載者については、他人への思いやりがあり、運転に対する自信が高く運転好きな人が多いと言える。この結果からは、運転に自信を持つ人が搭載を敬遠するわけではないと言える。 AEBS消極的搭載者については、補償運転度が低く、すなわち事故を未然に防ぐような運転をしない傾向が認められた。しかし結果的にはAEBSを搭載しており、AEBSによる事故抑制効果は期待できるだろう。 ADAS非搭載者については、運転が好きでない、自信がない傾向があるが、そのほかは特徴的な傾向は認められなかった。これには、非搭載者の中にも搭載意向を持っている人が含まれているためであると考えられる。 表 5-2 ADAS等搭載状況別の特性分析結果 サンプル数運転の好き嫌い運転に対する自信危険運転度補償運転度性格規則認識規則実践AEBS積極的搭載1942.743.660.791.421.921.631.59AEBS消極的搭載1972.723.650.721.161.661.761.52他ADAS搭載1872.593.670.861.421.841.671.46ADAS非搭載6722.363.380.811.431.641.691.55全体1,2502.513.510.801.381.711.691.54p値-p < 0.001p < 0.0010.4630.004p < 0.0010.5800.558判定-******** ※分散分析,**:1%水準で有意
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