自動運転普及がもたらす都市交通への影響調査
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63(2)分析結果 ここでは、AEBSがどのような交通事故で効果を発揮するのかをみるため、交通事故類型別に見た分析を行う。Webアンケートでは、AEBSを搭載していることで事故回避に効果のあった経験の有無を交通事故類型別に質問している。ここではこの回答結果を用いて、交通事故類型別の交通事故回避経験数を全交通事故類型の交通事故回避経験数で除すことで、より大きな効果が期待できる事故類型を分析する。交通事故回避経験数は一人で複数回体験していることもあるため、ここでは件数ベースの分析を行う。また、高齢者と非高齢者で傾向が異なる可能性もあることから、それぞれを分けて分析する。 結果を図 5-1に示す。なお、全体は、高齢者と非高齢者の類型別構成比を、平成26年の高齢者と非高齢者の交通事故割合の比率で加重平均した値である。 高齢者・非高齢者ともに追突事故の割合が最も大きい。特に非高齢者において追突事故の割合が大きい。一方高齢者は、追突事故以外の類型の事故でも非高齢者と比較して割合が大きい。サンプル数が少ないことに留意が必要であるが、非高齢者に比べて高齢者の事故回避効果は、幅広い事故類型に広がっている可能性がある。 平成26年に実際に起きた交通事故の交通事故類型別構成比67)を比較する。平成26年の交通事故類型のうち最も大きいのは追突事故であり36%である。次いで、正面衝突+出会い頭の27%、追越+追抜き+すれ違い+右左折時の15%である。今回のWebアンケート結果を用いた分析では追突事故の構成比が最も大きいのは、追突事故の発生件数が多いためであると考えられる。 6.5%3.2%9.7%41.9%9.7%12.9%6.5%6.5%3.2%10.0%5.0%15.0%20.0%15.0%10.0%10.0%5.0%10.0%7.1%3.6%10.7%37.8%10.7%12.4%7.1%6.2%4.5%0%10%20%30%40%50%1.道路(交差点を含む)を横断し…2.歩道のない道路を歩行している…4.自動車等との正面衝突事故、出…5.自動車等との追突事故6.自動車等との追越・追抜・すれ…7.その他の自動車等との事故8.道路上の駐車車両や、電柱や分…9.駐車場内等での駐車車両や、建…10.その他の事故非高齢者(31)高齢者(20)全体(加重平均)1.道路(交差点を含む)を横断している歩行者との事故2.その他の歩行者との事故3.自動車等との正面衝突事故、出会い頭事故4.自動車等との追突事故5.自動車等との追越・追抜・すれ違い・右左折時衝突事故6.その他の自動車等との事故7.道路上の駐車車両や、電柱や分離帯等の工作物との衝突事故8.駐車場内等での駐車車両や、建物やガードレールとの衝突事故9.その他の事故 図 5-1 交通事故類型別のAEBS事故回避経験構成比 67) 公益財団法人交通事故総合分析センター:交通統計 平成26年版,2016.

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