自動運転普及がもたらす都市交通への影響調査
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605.ADASの効果と普及に向けた方策に関する検討 5-1.はじめに ADASを搭載することでドライバーに対して様々な運転支援がなされることにより、交通事故被害の抑制効果や運転時の疲労を抑制する効果が期待されている。交通事故被害の抑制効果については、第2章でも触れたように、自動車メーカーによる効果も発表されている。自動車メーカーによる発表は、各社の特定車種のデータに限定されている。さらに、事故類型別の事故件数削減効果は示されているものの、どのようなドライバーに対してどのような効果があるかは読み取ることができない。 また、ADASを搭載しているドライバーが感じる動作時の違和感の有無や、機能に対する誤解の有無、そして、非搭載者の搭載意向についての知見はこれまで十分に得られていない状況である。 そこでここでは、Webアンケートの結果を用いて、ADAS搭載による事故削減効果の検証を行うとともに、現在のADAS利用者の特徴という基本的な分析やADASの搭載意向に関する分析を踏まえ、ADASの普及に向けた課題を整理する。 なお、ADASは複数の機能を総称する呼び方であり、ADAS全体を対象とすると回答者や分析者の解釈があいまいになる恐れがある。そのためここでは、交通事故被害抑制効果や導入意向の分析対象として、ADASの中でも比較的早くから市場投入され、認知も進んでいると考えられるAEBSを対象として分析を行う。 5-2.本章での分析の考え方 ここでは、ADASの交通事故回避効果や、ADAS搭載者の意識、ADAS非搭載者の意識について、次のような仮説を設定し、分析を行う。 • ADASを搭載することで交通事故被害抑制効果が期待できる。そして、非高齢者と比較して高齢者における交通事故回避効果の方が大きい。 • ADAS搭載者は、非搭載者と比較して運転に対する自信がない人が多い。 • ADAS非搭載者のうち、今後のADAS搭載意向を持っていない人は、ADASは効果がないという懐疑的な意識を持っている。 以上の仮説を設定した理由は次のとおりである。 1点目の仮説は、我が国において多発する高齢者の交通事故を念頭に、高齢社会における安全な道路交通環境を実現するため、ADASが有効なツールになりうる可能性があるかどうかを確認する狙いがある。 2点目の仮説は、現在のADAS搭載者の特徴を分析し、その知見やADASによる交通事故被害抑制効果の分析により得られた知見を踏まえて、今後さらにADASの搭載を促進すべき群の存在を明らかにする狙いがある。 3点目の仮説は、さらなるADASの普及を図るため基礎資料として、非搭載者の意向を把握するとともに、普及に向けたPRの対象を明らかにする狙いがある。

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