自動運転普及がもたらす都市交通への影響調査
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293-4-3.交通円滑化の面からみた光と影 (1)光の側面 • 渋滞緩和:自動運転技術により周辺車両との協調走行や隊列(プラトーン)走行が実現することで渋滞が緩和する可能性がある60) • 渋滞の問題の縮小:自動車での移動中に運転に集中する必要がなくなり、運転以外のセカンドタスクを行うことが可能になることで、渋滞で時間を浪費することの問題が縮小する可能性がある61) (2)影の側面 • 渋滞悪化の懸念:自動運転により自動車の利便性が向上し、その結果自動車利用が増加することによる渋滞悪化58) • 渋滞悪化の懸念:自動運転の悪用(駐車料金を逃れるために道路上を自動走行させることなど)でうろつき交通が増加することによる渋滞発生の懸念62) 3-4-4.移動手段確保の面からみた光と影 (1)光の側面 • 免許を持たない人の移動手段確保:自動運転の実現により運転手がいなくても利用できる自動車が登場する60) • 既存の公共交通の利用者増加:自動運転と既存公共交通機関の適切な役割分担がなされることにより既存公共交通の利用者が増加する可能性がある63) • 運転手不足の是正:自動運転の実現により運転手がいなくても走行するバスやタクシー、トラックが登場することで運転手不足が緩和する可能性がある64) (2)影の側面 • 既存公共交通機関の収益悪化:自動運転の過度な普及による公共交通機関の利用者が逸走し、既存公共交通機関の収益が悪化する可能性がある61) • モビリティ格差拡大:自動運転サービスの有無による地域間格差や、サービス料金の高騰による所得間格差によるモビリティ格差拡大の可能性がある61) • 職業運転者の雇用縮小:自動運転の過度な普及により運転手不足の解消にとどまらず、職業運転者の仕事を奪う事による雇用縮小の可能性がある65) 60) 例えば運転支援システム高度化計画策定関係省庁連絡会:運転支援システム高度化計画,2013.10. 61) 例えば太田勝敏:自動運転が拓く明日の交通社会を考える、交通工学、Vol.50, No.2. 2015.<再掲> 62) 例えば森川高行:街・駐車・自動運転、都市と交通、公益財団法人日本交通計画協会、2016.7. 63) 例えばDarnell Grisby, et al.:SHARED MOBILITY AND THE TRANSPORTATION OF PUBLIC TRANSIT, The National Academies Transportation Research Board, Share-Use Mobility Center(SUMC) 64) 例えば国土交通省:交通政策白書,2016.5. 65) 例えば64)の知見に基づく筆者の想定

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