自動運転普及がもたらす都市交通への影響調査
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263-3.自動運転に対する受容性等について評価した研究 普及に向けた様々な取り組みが進められている自動運転についても、市民の受容性に関する複数の調査や研究が行われている例えば45,46,47,48,49,50,51,52,53,54,55,30)。それぞれの調査の概要や、研究で得られた自動運転に対する賛否や利用の是非の回答割合を表 3-1に示す。なお、調査実施時期または公表時期が古いものを表の上部に整理し、他機関が実施した調査と当研究所が実施した調査を分け、当研究所が実施した調査は表の下部に整理している。 各調査の対象者の属性等は一様ではなく、各調査の狙い等により様々な条件下で行われていることに留意が必要である。例えば、番号10の愛知県の県政世論調査は、県民の中から無作為に抽出された人を対象としており、一般性が高いと言える。ただし、前述したように愛知県は自動走行を積極的に推進している自治体であり、このようなことが県民の意識に影響している可能性は考えられる。 これらの結果からは、全体の半数程度が自動運転に対して賛成あるいは利用や購入の意向を持っていると判断できる。自動運転に反対あるいは利用や購入意向を持たない人の割合は、最も大きい場合で4割弱であり、最も小さい場合で数%である。調査によって回答結果にばらつきがあるのは、回答者の属性が異なるため当然である。世間一般の受容性を偏りなく評価するには様々な条件を考慮する必要があるが、それを実現するのは容易ではない。各地での実証等の取り組みや研究を進める中で、個別にできるだけ様々な市民意識を把握するよう配慮して調査を実施し、様々な属性の受容性の調査結果を蓄積していくことが重要と考える。 45) Daniel Haward : Public Perceptions of Self-driving Cars: The Case of Berkeley, California, 93rd Annual Meeting of the Transportation Research Board Original Submission, 2013.1. 46) William Payre., Julien Cestac, Patricia Delhomme : Intention to use fully automated car: Attitudes and a priori acceptability, Transportation Research Part F, 27, 252-263, 2014. 47) BRANDON SCHOETTLE MICHAEL SIVAK : A SURVEY OF PUBLIC OPINION ABOUT AUTONOMOUS AND SELF-DRIVING VEHICLES IN THE U.S., THE U.K., AND AUSTRALIA, The University of Michigan Transportation Research Institute, 2014.7. 48) Jinan Piao, Mike McDonald, Nick Hounsell, Matthieu Graindorge, Tatiana Graindorge, Nicolas Malhene : Public views towards implementation of automated vehicles in urban areas, 6th Transport Research Procedia, 14, 2168-2177, 2016. 49) SBIホールディングス株式会社:車購入時6割以上が意識!自動ブレーキの標準装備化も加速!?,https://www.insweb.co.jp/research/report/vol036-drive-support.html,2015.7. 50) ボストンコンサルティンググループ:10カ国の消費者、58%が完全自動運転車への乗車意向示す,プレスリリース,2016.7. 51) 香月秀仁,川本雅之,谷口守:自動運転車の利用意向と都市属性との関係分析-個人の意識,交通行動に着目して-,都市計画論文集,Vol.51, No.3, 2016.10.<再掲> 52) 警察庁:自動走行の制度的課題等に関する調査研究 報告書,2016.3. 53) 株式会社インターリスク総研:自動走行システムの社会的受容性等に関する調査結果(概要)について,2016.9. 54) 愛知県:平成28年度第1回県政世論調査の結果について,2016.12. 55) 愛知県産業労働部:産学行政連携による愛知県の自動走行に係る取組 発表資料,あいちITS産・学・行政交流会,2017.3.

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