自動運転普及がもたらす都市交通への影響調査
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243-2.自動運転等の普及やその影響について研究した研究 自動運転の普及や、自動運転の普及がもたらす様々な影響についての研究もなされている。 Zia Wadud et. al.(2016)は、自動運転の普及による交通、エネルギー消費、二酸化炭素排出量に与える影響について、それぞれの変化メカニズムを考慮して推計している。その結果、自動運転による交通円滑化やエコな運転の実現、車両軽量化等により燃費が改善することを明らかにしたが、車両単体だけでなく人々の交通行動の変化にも着目する必要がある子を都市適している36)。Myra Blonco, et. al.(2016)は、Googleの自動運転車が起こす事故率と一般自動車の事故率を比較し、自動運転車の事故率が一般車両と比較して低いことを明らかにしている37)。しかし、Googleの自動運転車が走行する際は、通常の自動車を運転する場合と比べて注意のレベルは異なると考えられることも考慮する必要があるだろう。 また、自動運転と深く関係すると考えられるシェアドモード(シェアリングサービス)の普及と公共交通の関係について検討した文献がある38)。この中では、シェアドモードの利用が増えると公共交通をより多く利用する様になることや、シェアドモードは公共交通を補完することで都市のモビリティを高めることを指摘している。また、シェアドモードが大きく増加し続ける可能性に言及し、シェアドモードの便益をより大きくするためにも公共交通との位置づけを明確にする必要性を指摘している。 山本ら(2016)39)は、自動運転シェアカーの普及可能性を、Webアンケートデータにもとづく離散選択モデルやマルチエージェントシミュレーション等により分析した。その結果、自動運転シェアカーの利用料金が55円/km、待ち時間が1分の時、自動運転シェアカーの利用者が自家用車の利用者を上回ることを明らかにした。 香月ら(2016)40)は、自動運転車の利用が個人の外出行動に与える影響について分析している。これによると、自動運転の利用により、通院や買物よりも観光等や社交・娯楽という余暇活動の変化が生じやすいこと、運転者よりも非運転者の変化が生じやすいこと等を明らかにしている。さらに、香月ら(2016)41)は、自動運転車の利用意向と都市属性との関係についても分析を行っている。これによると、運転が好きな人は自動運転車の利用意向が低いこと、非運転者では運転の自信がない女性において自動運転車の利用意向が高いこ 36) Zia Wadud, et al. : Help or hindrance? The travel, energy and carbon impacts of highly automated vehicles, Transportation Research Part A,2016. 37) Myra Blanco, et al. : Automated Vehicle Crash Rate Comparison Using Naturalistic Data, Virginia tech transportation institute, 2016. 38) American Public Transportation Association : Shared Mobility and the Transformation of Public Transit,2016.3. 39) 山本真之,梶大介,服部佑哉,山本俊行,玉田正樹,藤垣洋平:自動運転車によるシェアカーの普及に関する研究,土木計画学研究発表会・講演集,Vol.53,2016.5. 40) 香月秀仁,川本雅之,谷口守:自動運転車(SDC)の利用による個人の外出行動への影響分析-外出頻度・目的地の変化に着目して-,第36回交通工学研究発表会論文集(研究論文),2016.8. 41) 香月秀仁,川本雅之,谷口守:自動運転車の利用意向と都市属性との関係分析-個人の意識,交通行動に着目して-,公益財団法人日本都市計画学会都市計画論文集,Vol.51, No.3, 2016.10.

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