自動運転普及がもたらす都市交通への影響調査
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19この自動運転システムの狙いは、レベル2であることからもわかるように運転支援である。エコカートの運行コスト抑制は大きな課題だが、無人化とは異なる方法で実現しようとしている。レベル2の運転支援を行うことで、運転手に求められる負担が軽減する。その分、高齢者でも比較的安全な運転が可能になることで、高齢者の雇用対策にもつなげたいという思惑がある。 このように、エコカートの導入は、観光客や地元住民の移動手段の提供や交流促進による地域経済の活性化だけでなく、地域の雇用創出にも貢献する狙いも込められている。輪島市におけるこの取組は、行政ではなく輪島商工会議所が実施している点でもユニークな事例である。地域の生活の足を確保するというだけでなく、自動運転を実現するという点からも稀有な事例であるが、今後の交通社会のあり方に対するひとつの将来像を提示していると考える。

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