自動運転普及がもたらす都市交通への影響調査
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13(2)警察庁の取り組み 警察庁では、2015年10月に自動走行の制度的課題等に関する調査検討委員会を設置し、「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン18)」の作成や、「自動走行についての法律的・運用上の課題の整理」を行い、2016年3月に報告書19)を公表している。 上記ガイドラインを受けて、日本国内でも公道で自動運転の実証実験を行う環境が整い、従来と比べて容易に実証を行うことが可能となった。課題の整理では、自動走行に係る刑事上・民事上の責任、行政法規上の義務などについて整理がなされている。 また、2016年6月に自動運転の段階的実現に向けた調査検討委員会を設置し、自動運転の段階的実現として、「高速道路での準自動パイロットの実用化に向けた運用上の課題」「遠隔型自動走行システムによる無人自動走行移動サービス」「トラックの隊列走行およびラストワンマイル自動走行」等についての検討がなされている。 (3)その他の取り組み 先に述べた通り、国土交通省と経済産業省は「自動走行ビジネス検討会」を協働で開催し、「2020~2030年頃に実用化を目指す自動走行の将来像」「戦略的な協調領域の取組方針」「国際的なルール(基準・標準)への戦略的取組」「産学連携の促進」等について取りまとめを行った20)。 自動走行の将来像では、2018年までに高速道路でのレベル2の自動運転、2020年頃より専用駐車場等での自動バレーパーキング(専用空間でのレベル4)、2020年以降に夜間長距離輸送等における後続車両無人の隊列走行、年次は明記されていないがラストワンマイル自動走行(専用空間等 専用車両 レベル4)、の実用化を目指すこととしている。 総務省では、自動走行の実現に向けた取組21)として、主に情報通信技術の分野で「ITSに関する制度整備」「SIP-adusにおける研究開発」「ICTに関する研究開発」を進めるとしている。自動運転の実現のためには、ダイナミックマップや車両周辺情報の共有のための大量高速の情報通信技術の確立が求められている。そのための技術開発として、総務省は2016年度に「自律型モビリティシステム(自動走行技術、自動制御技術等)の開発・実証」の研究開発課題の公募を行った22)。現在は委託先において開発・実証が進められている。 18) 警察庁:自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン,2016.5. 19) 株式会社日本能率協会総合研究所:平成 27 年度警察庁委託事業 自動走行の制度的課題等に関する調査研究 報告書,2016.3. 20) 自動走行ビジネス検討会:自動走行ビジネス検討会今後の取組方針,2016.3.<再掲> 21) 総務省:自動走行の実現に向けた総務省の取組,未来投資会議構造改革徹底推進会合 「第4次産業革命(Society5.0)・イノベーション」会合 (第4次産業革命)(第3回) 配布資料,2016.12. 22) 総務省:報道資料 平成28年度 情報通信技術の研究開発に係る提案の公募の結果,2016.6.

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