自動運転普及がもたらす都市交通への影響調査
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92-2.自動運転の実現に向けた取り組みの状況 2-2-1.自動運転開発の経緯の概観 自動運転の開発の経緯については、これまでも様々な所で整理や紹介がなされているが、ここではその概要を簡単に紹介する。 自動運転は、数十年も前から人々の夢の乗り物として思い描かれてきた。その夢の乗り物が実現に近づくきっかけになったと言われているのが、米国で2003年~2007年の間に3回開催されたDARPA(Defense Advanced Research Projects Agency:米国防総省の研究機関)が主催した自動運転の競技である。そこで優秀な成績を収めたチームの技術者が、その後グーグルなどのIT企業などに移籍し、自動運転技術の開発に関わっている。 DARPAの競技を始めとして現在取り組まれている自動運転技術の開発は、インフラとの協調が不要な自律型の自動運転と言えるであろう。インフラとの協調、すなわち道路と車両の路車間協調型の技術開発は、自動運転を目指すものに限らず、安全性や快適性等の工場を目指してITS技術として長年開発が進められてきている。しかし、この路車間協調型技術の課題としては、道路側の設備設置が問題となる。道路側の設備が先か、車両側の設備が先かという「鶏と卵」問題と、道路側の設備と車両側の設備の寿命の差の問題が指摘されている13)。 現在でも、自動運転の開発は様々なアプローチからなされている。ADASのように先進的な技術による個々の運転支援機能を組み合わせることで自動運転の実現を目指すアプローチは、それまで自動車生産を担ってきた自動車メーカーが採用することが多いアプローチと言われている。高度に発展したIoT技術や機械学習等の情報処理技術を取り入れて一気に自動運転車を作り上げるというアプローチは、大手IT企業などに多いと言われる。また、自律型だけでなく限られたエリアでの路車間通信を活用した自動運転の開発(石川県輪島市)や、低速走行による限られたエリアでの自律型自動運転の提案もなされている。大型トラックやバスの自動運転についても開発が進められている。 このように自動運転の中にも様々なタイプのものが存在する。人によって想像する自動運転のイメージや受け止め方も様々であり、自動運転に関する議論をすすめる際の難しさを高めているとも言えるが、それだけ様々な活用可能性を秘めた技術であるとも言える。今後どのような方向性で自動運転の開発が進むのかについてはまだ予断を許さない状況である。本研究においても、レベル4の自動運転に限定はするものの、利用形態(購入、シェアリング)や車両形式(乗用車、バス、超小型車)、自律型か路車間協調型か等については限定することなく議論をすすめることとする。 13) 保坂明夫,青木啓二,津川定之:自動運転 システム構成と要素技術,森北出版株式会社,2015.7.

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