高齢者モビリティの選択要因と支援方策に関する研究
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40 クラスター分析の結果、概ね情景毎にまとまる傾向が確認されたが、「C:進路変更」の安全確認と緩やかな進路変更、「D:カーブ走行」のふらつきのない運転は近い運転行動としてまとまっている。また、「B:一時停止標識のある交差点」は他の運転行動から最も離れてまとまっており、特徴的な運転行動であることが示唆される。 (2)「一時停止標識のある交差点」における運転行動の評価 特徴的な運転行動として抽出された「一時停止標識のある交差点」の運転行動について、全ての診断項目を達成できている高齢者(2段階停止あり)と、診断項目を一つでも非達成がある高齢者(2段階停止なし)の2群に分けて、群間の差に影響している要因を明らかにする。 2段階停止:一時停止線で完全に停止したのち、交差部でおいても停止して周囲の状況を確認 なお、高齢者講習で入手可能な説明変数(性別、視力(静止視力・動体視力・水平視力)、ブレーキ反応時間、運転頻度、保有免許種、認知機能検査)を用い、視力とブレーキ反応時間はブルンナー=ムンツェル検定、その他の説明変数はχ2検定を用いて分析を行う。 「一時停止標識のある交差点」の運転行動別に視力の差の検定(ブルンナー=ムンツェル検定)を実施した結果(表2-26)、動体視力と水平視力に差が確認され、2段階停止を行っている高齢者は動体視力が良く、水平視力が広い傾向である。 表2-26 「一時停止標識のある交差点」の運転行動と視力 n 静止視力平均 不偏分散 標準偏差 標準誤差 ブルンナー=ムンツェル検定 2段階停止なし 207 0.496 0.070 0.265 0.018 P=0.0755 2段階停止あり 115 0.540 0.068 0.261 0.024 n 動体視力平均 不偏分散 標準偏差 標準誤差 ブルンナー=ムンツェル検定 2段階停止なし 207 0.182 0.018 0.134 0.009 P=0.0195* 2段階停止あり 115 0.212 0.019 0.140 0.013 n 水平視力平均 不偏分散 標準偏差 標準誤差 ブルンナー=ムンツェル検定 2段階停止なし 207 164.884 270.812 16.456 1.144 P=0.0248* 2段階停止あり 115 168.113 330.996 18.193 1.697

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