高齢者モビリティの選択要因と支援方策に関する研究
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30 7)結果のまとめ 単純な情景によるブレーキ反応時間(選択反応検査)は、若年層(年齢階層1)と比較して年齢が高まるにつれて反応時間が遅くなる傾向である。しかし、「誤反応なし」では75歳以上での差はみられない。 ハンドルとペダルの複数作業を行いながらのブレーキ反応時間(注意配分・複数作業検査)は、若年層(年齢階層1)と比較して年齢が高まるにつれて反応時間が遅くなる傾向にあり、74歳以下に比べて75歳以上の高齢者の反応時間が遅く、誤反応がある高齢者は、80歳を超えると反応時間が遅くなる傾向が確認された。 (4)性別での比較結果 表2-18に基本統計量及び検定結果を示す。いずれの検査においてもブレーキ反応時間の差が確認され、女性に比べて男性のブレーキ反応時間が速くなっている。 表2-18 性別毎の基本統計量と検定結果(両側P値) 選択反応検査 注意配分:複数作業検査 男性 女性 男性 女性 n 219 109 219 109 平 均 0.7177 0.7939 0.7203 0.7787 不偏分散 0.0215 0.0325 0.0216 0.0385 標準偏差 0.1465 0.1804 0.1470 0.1961 最小値 0.4500 0.4800 0.4800 0.3800 最大値 1.4100 1.3500 1.3200 1.6400 変動係数 0.2041 0.2273 0.2041 0.2519 ブルンナー=ムンツェル検定 p < 0.001** p < 0.001** *:P<0.05 **:P<0.01 (5)ブレーキ反応時間の遅さに影響しちている要因分析 高齢者講習で収集される説明変数(視力(静止視力・動体視力・水平視力)、認知機能検査結果、運転頻度、保有免許種)を用いて、ブレーキ反応時間の遅さに影響している要因を明らかにする。分析は、ブレーキ反応時間が0.7秒以下をブレーキ反応時間が速い群、0.8秒以上をブレーキ反応時間が遅い群と設定し、男女別に視力はブルンナー=ムンツェル検定、その他の説明変数はχ2検定を用いて分析を行う。

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