高齢運転者の法令違反特性及び防止対策に関する考察
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4 2-2.法令違反特性に関する文献 高齢運転者の法令違反特性についての既往研究としては、交通事故の加害者である第一当事者を対象に行った研究分析が多くみられるが、交通事故の関与者を対象に行った研究分析が極めて少ない。交通事故の関与者のうち、法令違反を起さなかった運転者が存在しているが、それらの関与者の法令違反無を無視すれば、交通事故の中で、高齢運転者がどういう場面で法令違反を起さないかということに対する分析が困難である。なぜなれば、交通事故データによる研究分析では、第一当事者がほぼ100%法令違反を起したことにより、第一当事者のデータだけを使用すると、法令違反を起さない高齢運転者の特徴を把握できないと考える。そこで、高齢運転者の法令違反防止対策を検討するにあたり、交通事故の関与者を対象に行う研究分析が求められている。 極めて少ない研究事例としては、財団法人交通事故総合分析センターの研究報告があり、この報告は四輪車運転中の事故に関与した高齢運転者を対象に、事故発生時の違反特徴を分析したものである1)。その結論としては、非高齢運転者と比較して法令違反ありの割合が高いことや、指定場所一時不停止、信号無視、優先通行妨害等、前左右安全不確認が年齢全体に比べて目立つことが分かった。しかしながら、この研究報告には、事故発生時の道路形状別に法令違反の特徴を把握してしないため、道路形状も高齢運転者の法令違反類型に影響を与えることを考えると、道路形状別に分けて行われる研究分析が求められている。 また、法令違反特性についてもう一つの分析視点としては、事故類型と違反類型との関連性である。この分析視点について、松浦の研究報告があり、その中で、無信号交差点での出会い頭事故には4つのパターンに分けられて、それらの内容は次の通りである3)。 • 交差点・一時停止標識見落とし型 • 一時停止標識無視型 • 安全確認不十分型 • 行動予測誤り型 ここで、安全確認不十分型について、松浦は、「一時停止標識を確認し、一時停止をしたもののそれが形式的で安全確認もおざなりに進行した結果、事故を起したり、衝突対象以外の車や歩行者などに気をとられて相手車両の確認が不十分であったり、また見通しが悪い交差点に不用意に入ったために停止した途端に交差車両と衝突したりする事故パターン」と説明した3)。この説明から、安全不確認と出会い頭事故との関連性が存在していることが思われる。さらに、事故影響要因を考慮した安全不確認と出会い頭事故の関連性に関する分析も必要不可欠であると考えられる。なぜなれば、どういう人がどのような状況で安全不確認による出会い頭事故の割合がさらに高くなっているかという問題を解明することで、運転者を対象としての交通安全啓発教育を通じて、出会い頭事故の削減が実現する可能性が
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