高齢運転者の法令違反特性及び防止対策に関する考察
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3 2.高齢運転者に関する既往研究 高齢運転者についての既往研究としては、高齢運転者の事故特性に関する研究報告が多く行われてきたが、事故発生時の法令違反に着目している研究はまだ少ない。特に、高齢運転者が関与する交通事故についての研究報告は極めて少ない。 これらの研究視点としては、1)高齢運転者の事故特性の分析に焦点を当てたもの、2)高齢運転者の違反特性の分析に焦点を当てたもの、に大別できる。 2-1.交通事故特性に関する文献 高齢運転者の事故特性について、財団法人交通事故総合分析センターの研究報告があり、これは四輪車運転中の事故に関与する高齢運転者を対象に、事故特性を分析したものである1)。そして、池田らは高齢運転者が加害者(第一当事者)となる交通事故について、高齢運転者の事故特徴を把握した上、交通事故に影響を与える道路環境要因を分析した2)。また、松浦が高齢運転者に関する既往研究結果を整理し、他の年代に比べて高齢運転者の交通事故特徴を概観して整理した結果は次のとおりである3)。 • 交差点での事故、特に出会い頭事故や右折時の事故が多い。 • 車両単独事故やバック時の事故が多い。 • 歩行者や自転車など目立ちにくい相手との事故が多い。 • 優先妨害や歩行者妨害や安全不確認といった違反による事故が多い。 • 脳血管障害や認知症などの病気に起因する事故が多い。 • 市区町村道、幅員が狭い道路・交差点、歩車区分がしていない道路での事故が多い。 • 危険な状況下(夜間、雨・雪など)での事故が少ない。 これらの研究報告では、交通事故の関与者又は加害者を対象に、高齢運転者についての事故特性を把握したが、関与者と加害者の違いについての分析がなされていない。高齢運転者の事故特性を詳細に把握するためには、事故の関与者・加害者それぞれに着目する研究分析が求められている。それを踏まえた高齢運転者の交通事故防止対策がより有効であると考えられる。 また、これらの研究報告では、対象地域が異なることで、得られた結論も異なる場合がある。すなわち、地域の違いにより、高齢運転者の事故特性が異なることが想定される。このため、本調査研究では、豊田市における高齢運転者の事故特性を踏まえた交通事故防止にむけた方向性を考察するため、豊田市の事故データを用いて分析を行うこととする。
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