高齢運転者の法令違反特性及び防止対策に関する考察
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1 1.序論 1-1.調査研究の背景及び目的 全国交通事故発生件数は過去10年ほど減少を続けているが、65歳以上の高齢者が事故原因となる事故件数は増加し、全交通事故の20%前後に達したとの報告がある1)。その原因としては、高齢者人口割合の増加であると考えられる。さらに、少子化、高齢化が進んでいる日本では、2016年における65才以上の高齢者人口は3,461万人であり、総人口に占める割合が27.3%に達した2)。今後も、65才以上の高齢者人口割合が引き続き増加することが推計されている3)。 図 1-1 高齢者人口及びその割合の推移2) 高齢者人口が増加すれば、高齢ドライバーが関わる事故も増加すると予想されるため、これからの高齢社会では、高齢運転者の事故削減対策が重要な課題となる。しかし、既往研究をレビューした結果としては、高齢運転者の事故特性に関する研究報告が散見されるが、事故発生時の違反特性に関する研究報告が少ないことが分かった。高齢運転者の事故削減に向けた方策を探るには、まず高齢運転者の事故特性及び事故発生時の違反特性を把握することが求められている。 そこで、本調査研究では、交通事故データによる高齢運転者の事故特性を把握するとともに、事故発生時の違反特性も分析することを通じて、高齢運転者の事故防止や法令違反防止に資する知見を得ることを目的とする。

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