高齢運転者の法令違反特性及び防止対策に関する考察
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29 4-3-2.推定結果 本節では、無信号交差点事故を起した高齢運転者について、「安全不確認」と「出会い頭事故」との関連性を把握するためには、「アソシエーション分析」を用いる。4-1-1節で整理した交通事故データをもとに、無信号交差点で安全不確認による事故データを抽出した結果は、高齢者422名、非高齢者2,405名である。そのうち、出会い頭事故が占める割合について、高齢者は61.1%、非高齢者は58.3%であり、非高齢者と比較して、高齢者の割合がやや高くなっていることが分かる。 そして、「アソシエーション分析」を整理した高齢運転者・非高齢運転者それぞれの交通事故データに適用した結果を表 4-9に示す。 高齢運転者の交通事故データに適用した結果としては、「安全不確認」と「出会い頭事故」との関連性について、18ルールを導き出すことができる。この結果から、交通事故影響要因の組み合わせにより、出会い頭事故が占めている割合が更に高くなっている場面が分かる。例えば、ルール1は「時間帯が昼で運転車種が軽トラック」の場合は、75.4%の交通事故は出会い頭事故であることを示している。これにより、高齢運転者による出会い頭事故の防止に向けて、このよう場合で安全運転行動を促すことが望ましい。また、推定結果から、時間帯、運転車種、路面状態、年齢階級、天候などの事故影響要因の組み合わせによるルールを抽出できることから、高齢運転者がこれらの要素の影響を受けて、出会い頭事故を起しやすい傾向が示される。また、高齢運転者に適用した結果から得られる知見としても、乗用車と比較して、軽トラックを運転している運転者による交通事故は、出会い頭事故の割合が約8%と高くなっていることが分かる。 一方で、非高齢運転者の交通事故データに適用した結果としては、「安全不確認」と「出会い頭事故」との関連性について、7ルールを導き出すことができる。この結果から、時間帯、路面状態、運転車種、路面状態などの事故影響要因の組み合わせによるルールを抽出できることから、非高齢運転者がこれらの要素の影響を受けて、出会い頭事故を起しやすい傾向が示される。また、非高齢運転者に適用した結果から得られる知見としても、乗用車と比較して、軽乗用車を運転している運転者による交通事故は、出会い頭事故の割合が約2.3%と高くなっていることが分かる。 非高齢者と比較した結果について、年齢階級、天候が高齢運転者のみに影響を及ぼすことや、乗用車と比較して、軽トラックを運転している運転者による交通事故では、出会い頭事故の割合が高くなっていることは高齢運転者の事故データに適用した結果の特徴であると考えられる。

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