高齢運転者の法令違反特性及び防止対策に関する考察
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16 クス」で、tP、LP、RPは、それぞれ分割する前、分割した後の左側、分割した後の右側の個体の比率である。 また、統計分析フリーソフト「R」でCARTを適用する手順は次の通りである。 1) 分析データを用意し、Rからデータを読み込む。 2) データを「決定木モデル分析」用のカテゴリデータに変換する。 3) 必要であれば、項目ごとの頻度集計を行う。 4) 関数rpart()を用いて、決定木構造を生成する。 5) 結果をみて解釈を行う。 本章では、目的変数を法令違反の有無、説明変数を道路形状、時間帯、天候、路面状態、運転車種に加えて、高齢運転者年齢(5才階級)とした。これらの説明変数は、法令違反の有無に影響を与える要因として考えられてきて、かつ現在利用可能なデータである。 3-3-2.推定結果 決定木モデル分析を行うためのCARTアルゴリズムを高齢運転者が関与する交通事故データに適用した結果を表現するための木構造は図 3-7に示す。この木構造には、説明変数(道路形状、年齢階級、天候、時間帯、運転車種)と高齢運転者の法令違反の有無との関係が示される。具体的には、「道路形状が単路関連以外の場合」は「法令違反有」と分類されて、「道路形状が単路関連の場合」は次の条件に進む。次に、「年齢が70才以上の場合」は「法令違反有」と分類されて、「年齢が70才未満の場合」は次の条件に進む。さらに、「天候がその他で時間帯がその他の場合」は「法令違反無」、「天候がその他で時間帯が昼または暮の場合」は「法令違反有」、「天候が晴または曇で運転車種が軽乗用車またはトラックの場合」は「法令違反有」と分類されて、「天候が晴または曇で運転車種が軽トラック又は乗用車の場合」は次の条件に進む。最後、「時間帯がその他の場合」は「法令違反無」、「時間帯が昼または暮の場合」は「法令違反有」と分類される。 決定木では、目的変数に対するより重要な説明変数ほど上部の階層に位置する。ここで、注目したい変数の順序と分岐の閾値が決定木によって自動的に得られることである。そのため、図 3-7に示すような木構造から、道路形状、年齢階級、天候、時間帯、運転車種の順に重要な説明変数として順位付けがなされたことが分かる。 また、決定木モデル推定結果の正解率は、「法令違反有」と正しく推定されたデータ数と「法令違反無」と正しく推定されたデータ数の合計値をサンプル数で割ったものであり、本章で得られた決定木モデル推定結果の正解率は83.4%であるため、このモデルは一定の精度を確保していることが分かる。
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