県の特性を考慮した超高齢社会における交通安全対策に関する研究
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32.既往研究のレビュー 2-1.地域の違いや特性を考慮した交通事故の特徴分析に関する研究 本研究は、マクロ的(都道府県別)に捉えた時に地域ごとの事故率や事故類型の割合等に差が生じるのはなぜか、どのような地域特性が影響しているのかを探り、各地域に適した有効な事故対策の検討に資するものであるが、本研究と同様に、地域特性と事故の発生傾向等の関連について分析した研究としては、特定の地域を対象とし、道路・交通環境面における特性を考慮した分析が多い。例えば、以下のものがある。 自動車安全運転センター1)は、47都道府県を対象に、事故率と交通環境条件または住民意識の関連を分析した。住民意識にはNHKの全国県民意識調査(1978年調査)を用いている。既存調査データに頼っているために直接的に交通安全に関する意識が把握できていないことが課題といえる。 小倉ら2)は、名古屋市港警察署管内で発生した人身および物損事故の地点について、地域(メッシュ250m×375m)ごとの人身事故の発生状況から地域の特性および事故形態と、人身、物損事故の関係について分析している。地域特性としては、道路占有率、合流・分流数、信号・無信号交差点数、わき道数、駐車場出入り口数等の道路環境に着目しており、人身事故件数および物損事故件数ともに多い地域は、駐車場へのわき道が多いことなどを示している。 吉村ら3)は、事故要因として実際の交通流状況下における見通し不足に着目し、横浜市青葉区内の事故多発交差点をモデルケースとして、事故発生のメカニズムに関する仮説を構築するとともに事故発生危険度の算出について提案している。 三谷ら4)は、兵庫県加古川地域を対象に、大字単位における事故発生状況と、道路・交差点密度、土地利用面積割合といった地域的特徴に着目した実態分析を行っており、全域での事故発生傾向やそれに対する地域的特徴等を示している。さらに三谷ら5)は、同地域を対象に、地域内の道路延長や交差点数等の道路ストックに対する高齢者事故率を算出し、いくつかの道路特性(幅員、種別等)間で高齢者事故率を比較することにより、高齢者は規模の大きな道路や交差点、道路規模や道路認識にギャップを有する交差点で事故を発生しやすい傾向になることなどを示している。 1) 特殊法人自動車安全運転センター:交通事故率の要因に関する調査研究報告書,1981. 2)小倉俊臣、松本幸正、高橋政稔、栗本譲:地域環境に着目した交通人身・物損事故に関する研究,第16回交通工学研究発表会論報告集,pp.33-36,1996. 3)吉村美保・浜岡秀勝・森地茂:見通しに着目した交通事故分析, 土木計画学研究・論文集Vol. 17, pp. 989-994, 2000. 4)三谷哲雄・日野泰雄・上野精順・沢田道彦:大字単位の地区特性値に対応した地理情報システムによる交通事故分析の試みとその考え方,土木計画学研究・論文集18,pp.843-848,2001. 5)三谷哲雄、日野泰雄、上野精順、西薗達男:道路ストックからみた高齢者事故の特性-GISを援用した交通事故分析事例と交通安全対策支援の展開-,第21回交通工学研究発表会論文報告集,pp.189-192,2001.

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