県の特性を考慮した超高齢社会における交通安全対策に関する研究
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424-2.分析2:高齢者に特徴的な事故に着目した分析(重回帰分析) 4-2-1.分析の考え方 前節の分析では、交通事故の発生傾向と各指標との一対一の関係を分析した。ここでは、重回帰分析を用いて交通事故の発生傾向を目的変数、各指標を説明変数都市、それぞれの間にどのような関係にあるのかを分析する。 重回帰分析では、説明変数の間に相関関係があると適切なモデルが推定されないため、初めに使用する指標を絞り込む。ここで用いる指標を表 4-6に示す。なお、Web調査により取得したマナー指標は、都道府県単位のサンプル数が小さいことからここでは使用しない。さらに、交通事故の種類(類型や内容等)によっては関係が浅いと考えられる指標もあるため、交通事故の種類に応じて使用する変数を設定する。表の①は交通事故全般に関係する指標と考え、②は歩行者事故に関係する指標と考える。 重回帰分析は、それぞれの分類にあてはまる説明変数すべてを用い、増減法により説明変数の抽出を行う。 目的変数は、事故全体の傾向を把握するための指標と、高齢者の事故に着目した指標を対象とした。 表 4-6 重回帰分析に用いる変数 種類変数分類指標の考え方目的変数千人あたり交通事故件数①交通事故全般高齢者千人あたり第一当高齢者事故件数①第一当高齢者交通事故全般百万人あたり死亡事故件数②死亡事故高齢者百万人あたり第一当高齢者死亡事故件数②第一当高齢者死亡事故百万人当たり出会い頭事故①高齢者に多い交通事故類型高齢者千人あたり出会い頭事故①高齢者に多い交通事故類型百万人当たり車両単独事故①高齢者に多い交通事故類型高齢者千人あたり車両単独事故①高齢者に多い交通事故類型百万人あたり交通事故死者数②高齢者交通事故死者数高齢者百万人あたり交通事故による高齢者死者数②高齢者交通事故死者数百万人当たり対背面事故②高齢者交通事故死者数百万人当たり横断中事故②高齢者交通事故死者数説明変数リスク暴露自動車分担率①交通事故全般に関係徒歩分担率②人対車両事故(死亡事故)に関係総面積当たり総走行キロ①交通事故全般に関係都計区域面積あたり市街地走行台キロ②人対車両事故に関係(車と歩行者の交錯の多さ)交通事故人口あたり信号密度全道路環境(車両の交錯の多さ)発生率①人口あたり横断歩道密度②道路環境(歩行者の多さ)道路交通人口あたり立体横断施設密度②道路環境(歩行者の多さ)環境指標可住地面積あたり道路密度全道路環境(道路率の高さ)雪日数率全積雪状況市街地内平均走行速度(自専道以外)②市街地(歩行者が多い)の走行環境交通事故人口あたり県民所得全経済的豊かさ発生率②人口あたり土木費全インフラ投資にかかるコスト社会経済人口あたり警察費全安全・安心確保にかかるコスト指標人口あたりコンビニ店数全ライフスタイル人口あたり大規模店舗数全ライフスタイルDID面積あたりゾーン30②生活道路環境整備に対する姿勢信号灯器のLED化率全道路交通環境整備に対する姿勢1人あたり輸送機械製造品出荷額等全自動車産業の重要性交通事故全般的運転マナーが悪いと感じる割合全交通マナー発生率③不要なクラクションが多いと感じる割合全交通マナー運転免許保有者あたり交通違反件数全交通マナー・交通警察の姿勢マナー指標違反種別別構成比種類による交通マナー・交通警察の姿勢※分類の説明:目的変数の分類が①の場合は説明変数として①または全の変数を使用する。②の場合は②または全を使用する。

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