県の特性を考慮した超高齢社会における交通安全対策に関する研究
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41分析27)によると、人対車両事故は自動車が直進中に多く発生しており、その人的事故要因は漫然運転や脇見運転による発見の遅れが70%を占めている。また、歩行者の「法令違反あり」が70%を占めている。ドライバーには早期危険認知、歩行者には法令遵守が求められる。 一方、今後高齢ドライバーの増加に伴い、早期危険認知の実践が容易ではなくなるドライバーが増加する恐れがある。人の認知、そして判断や操作を支援するADASの導入が効果的であるといえる。自動ブレーキ(AEBS)の中でも歩行者に対しても有効なシステムなどは、有効に機能することが期待できる。 表 4-5 人対車両事故の構成比と各指標の相関係数 種類指標相関係数判定リスク徒歩分担率0.538**リスクDID内の人口密度0.523**マナーウィンカー出さない車が多いと感じる割合-0.463**マナー運転中スマホする車が多いと感じる割合-0.455**社会経済人口あたり信号機数-0.389**マナーあおられることが多いと感じる割合-0.367*リスク都市計画区域面積あたり市街地走行キロ0.358*マナー見切り発車する車が多いと感じる割合-0.331*マナー免許保有者数あたり違反件数0.331*マナー全般的交通マナー悪いと感じる割合-0.329*無相関の検定 *:5%有意、**:1%有意 4-1-1.本分析のまとめ 高齢者が第一当事者となりやすい出会い頭事故および車両単独事故、そして、高齢者の交通事故死者数の半数を占める歩行中、すなわち人対車両事故に着目して、相関分析により関係の深い指標を探る分析を行った。 出会い頭事故では、交通マナーに関係する多くの指標との相関が高いことから、交通マナーの向上を有効な対策として提案した。 車両単独事故では、相関が高い指標の中に有効な対策に結びつく指標がなかった。そこで、車両単独事故に結びつく運転操作に着目し、当該事故の4割を占める無意識のハンドル操作を抑制するための予防安全装置であるADAS、特にLKASやLDWSの導入を対策として提案した。 人対車両事故でも同様に、相関が高い指標の中に有効な対策に結びつく指標がなかった。そこで、当該事故の発生要因に着目し、要因の7割を占める漫然運転や脇見運転を抑制するためのADAS、特にAEBSの導入を対策として提案した。 27) 公益財団法人交通事故総合分析センター:イタルダ・インフォメーション,No.94,2012.

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