県の特性を考慮した超高齢社会における交通安全対策に関する研究
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384-1-3.交通事故に関係の深い項目の分析 以上の分析より、ここでの分析で着目する交通事故として、出会い頭事故、車両単独事故、人対車両事故の3種類の事故類型を抽出する。 ここでは抽出した3種類の交通事故に、どのような指標が影響しているのかを相関係数をみることで分析する。分析に用いる指標は、都道府県別に整理したリスク暴露、道路交通環境、社会経済、運転マナーに関係する指標とする。 以降で示す相関分析の結果は、相関係数の絶対値の大きいものから10個の指標を示す。また、指標の中には類似する指標(例えば、人口密度、DID内の人口密度、DIDに居住する人口の割合等)が含まれるが、その中から最も相関係数の大きな指標のみを表示する。 (1)出会い頭事故と各指標の相関分析結果 見切り発車する車が多い割合、信号機のない交差点で歩行者が渡ろうとしている時に一時停止しない割合、全般的な交通マナーが悪いと回答する割合、運転中にスマホを操作する車が多い割合、運転免許保有者あたりの違反件数が多いほど、出会い頭事故が起こりやすい。反対に、徒歩分担率、免許保有者あたりの違反件数が少ないほど、出会い頭事故が起こりにくい。 興味深いのは、徒歩分担率以外の指標が全て交通マナーに関する指標であることである。免許保有者あたりの違反件数を除くと、全ての指標の符号が正である。特に「見切り発車」については相関係数が0.35と他の交通マナー指標よりも高いことは納得できる。出会い頭事故の対策としては、交通マナーの向上が欠かせないと言えるだろう。 表 4-1 出会い頭事故の構成比と各指標の相関係数 (事故データは2011~2015、以下同) 種類指標相関係数判定リスク通勤通学利用徒歩交通手段分担率-0.525**マナー見切り発車する車が多いと感じる割合0.352*マナー歩行者がいるのに一時停止しない車が多いと感じる割合0.318*マナー全般的交通マナー悪いと回答する割合0.313*マナー運転中スマホする車が多いと感じる割合0.309*マナー免許保有者数あたり違反件数-0.297*マナー違反検挙数に占める歩行者妨害違反構成比0.275マナー違反検挙数に占める通行禁止違反構成比-0.267社会経済信号灯器のLED化率-0.262マナー違反検挙数に占める信号無視構成比0.249無相関の検定 *:5%有意、**:1%有意

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