県の特性を考慮した超高齢社会における交通安全対策に関する研究
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364.県の特性を考慮した交通事故の発生状況に関する分析 県の特性を考慮した交通事故の発生状況の分析は、様々な手法が考えられる。本章では、県の特性を考慮した交通事故の発生状況について、次の4種類の分析を行う。 分析1と分析2、分析3は、高齢者の交通事故対策を導くための分析として実施する。分析4は、14年連続交通事故死者数ワースト1の愛知県の現状を鑑み、愛知県の特徴を見出すことを狙った分析を行う。 • 分析1:高齢者に特徴的な事故に着目した分析(相関分析) • 分析2:高齢者に特徴的な事故に着目した分析(重回帰分析) • 分析3:交通事故の特徴の類似性に着目した分析 • 分析4:愛知県の交通事故発生状況の特徴に着目した分析 4-1.分析1:高齢者に特徴的な事故に着目した分析(相関分析) 4-1-1.分析の考え方 第3章での分析により、高齢者に特有の事故の特徴がみられる。ここでは、超高齢社会の安全対策を考えるため、高齢者に特有の事故に着目した分析を行う。 ここでの分析は、次のステップで行う。 1) 高齢者に特有の事故の抽出 2) 抽出した事故と県の特性との関係を相関分析から把握 3) 相関分析の結果を踏まえた交通事故対策の提案 4-1-2.高齢者に特徴的な事故の抽出 (1)高齢者が第一当事者となる事故 第3章(図 3-2~図 3-7)で示した通り、全年齢と高齢者とでは事故の起こり方が異なっている。 事故類型別にみると、高齢者の方が特に多い事故類型として、事故全体では出会い頭事故が特に多く、死亡事故では車両単独事故および出会い頭事故が特に多い。 道路幅員別にみると、高齢者の方が特に多い箇所として、事故全体では交差点小(接続道路の幅員が5.5m未満)と交差点中(接続道路の幅員が13.0m未満)、死亡事故では単路5.5m未満、交差点小が特に多い。これは、事故類型とも密接に関連していると言える。 地形別にみると、事故全体では事故類型や道路幅員ほどの特徴はみられないが、死亡事故では市街地以外での歩車道区分がない箇所で特に多い。これも、事故類型と関連していると言える。 以上より、高齢者が第一当事者となる交通事故の高齢者特有の傾向として、事故全体では出会い頭事故が多く、死亡事故では車両単独事故および出会い頭事故が多いと言える。

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