県の特性を考慮した超高齢社会における交通安全対策に関する研究
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83-2.指標の検討 前節で整理した分析を行うための指標を検討する。 3-2-1.目的変数(交通事故件数) 目的変数となる交通事故死者数は、本研究では死者数に限らず事故件数あるいは死亡事故件数を主に対象とする。交通死亡事故をなくすことが交通安全対策の究極の目標であるが、交通死亡事故は交通事故の中でも重篤なもので、その発生頻度は交通事故全体の中でも小さい。一方、死亡事故の発生割合は交通事故類型によっても大きく異なる。そのため、直接的に死者数を取り扱うのではなく、死亡事故に至る交通事故全体を対象として検討をすすめる。 都道府県により面積や人口、自動車走行台キロが異なるため、横並びで事故件数を取り扱うことはできない。本研究では、人口あたりの事故件数や、事故件数全体に占める構成比等により、基準化を行う。 3-2-2.説明変数(各種指標) (1)リスク暴露 リスク暴露に関係する指標としては、自動車同士、あるいは自動車と歩行者等が交錯する頻度を表現しうる指標を採用する。 地域の自動車への依存度を示す自動車分担率、歩行者の多さを示す徒歩分担率、地域における自動車走行距離の多さを示す面積あたりの走行台キロなどを採用する。 自動車への依存度を示す指標として、運転免許保有率(高齢者の運転免許保有率)などが考えられたが、自動車分担率で代表できるためここでは取り扱わない。 (2)交通事故発生率 交通事故発生率に関係する指標としては、道路交通環境に関わる指標が考えられる。本研究では、交通事故に関係する潜在的な要因の存在を探るため、道路交通環境だけでなく、社会経済指標(道路交通、交通安全に関係する指標)、および地域の運転マナーに関係する指標を取り入れる。 1)道路交通環境指標 道路交通環に関係する指標として、道路インフラに関するものと、道路の利用状況に関するものを採用する。 道路インフラに関する指標としては、信号箇所数、横断歩道箇所数、立体横断施設数、道路延長などを採用する。これらは、人口や面積により基準化して取り扱う。また、インフラではないが道路の利用環境に深く関係する気象減少として、雪日数率を取り入れる。 次に、道路の利用状況に関する指標としては、走行速度を採用する。

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