助言型ISAの長期効果の計測およびインセンティブプログラムの効果検証
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-51- ッチングアルゴリズムに関する既往研究の例としては、三輪(2005)は従来のマップマッチング手法の整理・比較を行った上で、長間隔のプローブカーデータに適用できるようなより精度が高いマップマッチング手法を提案し、名古屋市で行われた大規模なタクシープローブカー実証実験で収集されたプローブデータに適用し、そのマップマッチングアルゴリズムの有効性及び高精度を示した。ただし、三輪が提案したアルゴリズムはプローブデータをマップマッチングするにあたり、計算時間がかなり長い問題点があるため、曹(2011)は三輪が提案したマップマッチングアルゴリズムを簡潔化し、計算用時間を大幅に短縮できるアルゴリズムを開発した。 本研究は曹が提案したマップマッチングアルゴリズムを改良し、LOGデータに適用できるようなマップマッチングアルゴリズムを開発した上で、このマップマッチングアルゴリズムを用いて、過去2年間で行われた助言型ISAの実証実験で収集されたプローブデータを整理するとともに、整理した結果を活用した方向性を検討する。なお、より精度が高いマップマッチング結果を確保するためには、本研究ではISAアプリによるLOGデータに含まれる一次マップマッチング後座標(経度・緯度)を用いて、有するデジタル道路地図に経路を特定する二次マップマッチング作業を行う。マップマッチングの作業について説明は次節に述べる。 7-3.マップマッチング作業の説明 7-3-1.事前準備 ISAアプリが用いるデジタル道路地図は(株)トヨタマップマスター固有のものであるため、研究所が所有するデジタル道路地図を利用する。具体的には、『ArcGIS データコレクション プレミアム2010 道路網(愛知県版)』であり、GISソフトウエアで一般的に使用される形の一つとしてのシェープファイルである。 図 7-1に示したように、規制速度の検知範囲は外環状線の内側+αであるため、LOGデータをマップマッチングするにあたり、特定範囲内で移動したトリップのみを抽出する。なお、トリップを抽出するにあたり、豊田市域緯度、経度それぞれの最大値、最小値による四角形内で移動したトリップのみを限定する。豊田市域緯度、経度それぞれの最大値、最小値は次のとおりである(表 7-2)。 表 7-2 豊田市域緯度、経度(世界測地系:WGS84) 最大値 最小値 緯度 35.29111111 34.99055556 経度 137.5811111 137.0397222 注:緯度、経度の数字は10進数である。 表 7-2に示す緯度、経度それぞれの最大値、最小値の組み合わせによる四角形内で移動したトリップデータのみを抽出する。また、ISAアプリの稼動状況により、GPS座標を捕

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