助言型ISAの長期効果の計測およびインセンティブプログラムの効果検証
38/98

-35- 6.道路構造・沿道土地利用からみたISAの効果 6-1.はじめに ISAの普及における一つの重要な研究視点として、その適用範囲の検討がある。すなわち、どのような場所でどのような情報を提供することが効果的であるのか、その見極めを行うための知見を得る必要がある。これまでの研究により、「余計な(余分な)」情報提供は運転者のシステム信頼性を著しく低下させることが考えられた。つまり運転者のシステム信頼性を損なわない、効果が期待できる「範囲」における適材適所的にシステム稼働させるための知見の有用性は極めて高いものと考えられる。 そこで、ISAの速度抑制効果について、道路構造と沿道土地利用の関係性から捉えることで、当該システムへの信頼性を担保した適用範囲について明示することを目的とし、今回のフィールド実験の結果を用いてまずPhase1とPhase2それぞれの平均走行速度の差を分析する。その際、指定される最高速度別に、走行する道路の道路幅員と区間長といった道路構造別および、低層、高層、田、空地など走行する道路の沿道土地利用別での解析を実施する。 さらに上記の解析結果を通じて、最高速度別に特にISAの速度抑制効果が発揮される道路構造と沿道土地利用を明らかにし、ISAを適用すべき範囲について考察する。 6-2.分析の方法 (1)道路構造・沿道土地利用情報の付与 道路構造の中でも、速度が最高値になると予想されるのは、リンク中心点付近であるため、ここでは、リンク中心点付近の平均速度をリンク代表値とするための処理を以下のように実施した。 • リンク中心点から半径7.5mのバッファを作成(7.5mは直径15mであり、これは50㎞/hで走行するデータを最低1回は取得できる距離) • リンク長が15m以上のバッファは削除(隣接リンクのデータを吸い上げる可能性があるため) • 当該バッファに重複するISAデータにリンクデータを付与(複数のバッファに重複する場合、最も中心点に近いバッファのデータのみを付与する) • リンク中心点を代表値として、当該点がある箇所の土地利用データを付与 (2)解析の考え方 ① 解析対象区間の調整 Phase 1とPhase 2で被験者が同一のリンクを使用しているとは限らないため、各被験者別でPhase 1、Phase 2どちらも通過経験があるもののみを解析対象として抽出した。 ② 解析単位 すべてのISAデータを一元的に分析してしまうと、走行回数の多い被験者の影響が如実に出てしまうことから、解析単位を「リンク」とし、それぞれのリンク別・被験者別の平均

元のページ  ../index.html#38

このブックを見る