助言型ISAの長期効果の計測およびインセンティブプログラムの効果検証
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-30- 4-3.画像提示アンケートによる速度遵守意識の加齢による差違 (1)はじめに 道路交通における速度規制は一般に交通標識及び路面標示で実施されており、概ね幹線道路と補助幹線道路において規制速度が表示されている。対して生活道路では警察庁の通達によりゾーン30の推進が進められており、こちらでも同様に道路標示とゾーン30の標識によって速度抑制を促している。ゾーン30地区の速度抑制に関しては狭窄部やハンプ部における速度抑制効果は可能性が示唆されているが、速度抑制設備のない部分についてはさらなる検討の必要性がある。一般成人を対象とした規制速度の明示化に関する研究では一貫した効果は認められず、場所によっては規制速度を明示することによって希望速度が引き上げられる可能性が示されている。 そこで本節では一般成人と高齢者の希望速度を速度規制表示の有無と併せて検討し、規制表示から受ける希望速度の表明が加齢によって変化するのか、一般的にみられる現象であるのかについて検討する。 (2)方 法 【手続き】交通状況の写真をプロジェクターで5秒間提示し、その後の5秒間の回答時間で自身なら20km/hから5km/h間隔で80km/hまでの何km/hで走行すると思うかを質問紙に回答してもらうという調査を幹線道路、補助幹線道路、生活道路の3種類の街区について、速度規制表示のあるなし、歩行者の有無など状況を変えて繰り返した。写真の提示順はランダム化し、同じ地点が連続しないよう設定した。 【被験者】豊田市内に在住する日常的に自動車を運転している成人27名(男性10名、女性17名)と65歳以上の高齢者21名(男性19名、女性2名)が参加した。 【刺激】幹線道路2箇所、補助幹線道路2箇所、生活道路3箇所の道路状況の写真をGoogleストリートビューから取得し使用した。 幹線道路は片側2車線以上の道路、補助幹線道路は片側1車線の道路とし、40km/h規制の道路と50km/h規制の道路を1箇所ずつ用いた。生活道路はカラー舗装されている小学校付近、幅員の狭い住宅街、やや幅員が狭い商店等が混在する住宅街の3箇所を用いた。また、全地点で当該地点の規制速度を表示した写真及び、生活道路においては30km/h規制と別にゾーン30規制表示も用意した。 (3)結 果 ① 幹線道路 幹線道路における希望速度を図4-14に示す。標識の有無と世代を独立変数とした分散分析の結果、40km/h規制区間では交互作用が認められず(F(1,46)=3.088,n.s.)、規制表示と世代の主効果が共に認められた(規制表示: F(1,46)=8.258,p<.01; 世代: F(1,46)=4.850, p<.05)。50km/h規制区間では有意な交互作用、主効果ともに認められなかった(交互作用:

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