高齢者のおでかけによるQOLの変化と中山間地域のまちづくり方策に関する研究
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「生きがい」に関連する既往研究の整理と尺度 2-2.加齢とともに身体的機能の衰えが生じてくるが、いかに健康で、生きがいを持って充実した日々を過ごしていくかが、超高齢社会のわが国において重要な課題である。この「生きがい」は、高齢者のサクセスフル・エイジング(successful aging)にとって極めて重要であるとされ、急速に高齢社会を迎えるにあたり老年学の分野等で理論や研究が蓄積されている。柴田は、老年学の研究から、生きがいを『従来のQOLに、なにか他人のためにあるいは社会のために役立っているという意識や達成感が加わったもの』と定義している。研究分野や研究対象によって定義が異なるため共通のものはないが、「生きている実感」や「喜び」、「充実感」、「張り合い」、「自己実現」など生きがいの概念・構成内容は類似概念で表現されている4)5)。 高齢者の生きがいを測る尺度は、PGCモラール・スケールや生活満足度など、海外で作成された既存の尺度を用いて標準化していたが、わが国の高齢者に対応した生きがい感尺度として、近藤ら6)は「高齢者向け生きがい感スケール(K-I式)」、長谷川ら7)は「生きがい対象尺度」を開発した。これらの尺度は質問の項目数が多いため、介護予防や生きがいを対象とした事業評価において生きがいをアウトカム指標として組み込むことを目的に「生きがい意識尺度(Ikigai-9)」が今井ら8)9)によって開発された。 調査対象者の心理的な負担を軽減し(調査の簡便性)、調査項目におけるポジティブな心理機構を測定する尺度であることなどを理由に、本研究では今井らが提案した「生きがい意識尺度(Ikigai-9)」を参考に、高齢者の生きがい意識を調査することとする。当該尺度は表 2-4に示す9つの項目について、「とてもあてはまる」 ~ 「ほとんどあてはまらない」の5段階で回答する方式である。 表 2-4 生きがい意識尺度(Ikigai-9)の質問項目 総生きがい得点 生活・人生に対する楽天的・肯定的感情(3点~15点) 自分は幸せだと感じることが多い。 こころにゆとりがある。 生活がゆたかに充実している。 未来に対する積極的・肯定的姿勢 (3点~15点) 何か新しい事を学んだり、始めたいと思う。 色々なものに興味がある。 自分の可能性を伸ばしたい。 自己存在の意味の認識 (3点~15点) 自分が何か他人や社会のために役立っていると思う。 自分の存在は、何かや、誰かのために必要だと思う。 自分は誰かに影響を与えていると思う 4
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