高齢者のおでかけによるQOLの変化と中山間地域のまちづくり方策に関する研究
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2.「日常生活動作能力」及び「生きがい」に関連する文献整理と評価尺度 日常生活動作能力を測定する尺度 2-1.高齢者の生活機能は、基本的日常生活動作能力(Basic Activity of Daily Living;BADL)と呼ばれる歩行・食事・更衣・入浴・排泄などの身体動作が基本である。しかし生活機能には、BADLだけでなく手段的日常生活動作能力(Instrumental ADL;IADL)と呼ばれる交通機関の利用・電話の応対・食事の支度・金銭管理などのより生活に関連した動作や社会的役割を担う能力など、さまざまな水準がある1)。 わが国では、より高次の生活機能の評価を行なうことを目的として古谷野らが開発した『老研式活動能力指標』がある2)。当該指標は、1986年に東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)において開発され、信頼性・妥当性が確立された指標である。また、当該指標が使われ始めてから四半世紀が過ぎて生活環境が大きく変化しているため、老研式活動能力指標を基盤として、一人暮らし高齢者が自立し活動的に暮らすために必要な能力を測定する『JST版活動能力指標』が2014年に開発された3)。 本研究では、手段的自立・知的能動性・社会的役割の3つの活動能力を測定でき、在宅老人の生活機能の評価に適した『老研式活動能力指標』に基づき、高齢者の生活動作能力を測定する。 表 2-1 老研式活動能力指標の質問・回答 活動能力 質問 回答 手段的自立 (手段的ADL) 1.バスや電車を使って一人で外出できますか 1.はい 2.いいえ 2.日用品の買い物ができますか 1.はい 2.いいえ 3.自分で食事の用意ができますか 1.はい 2.いいえ 4.請求書の支払いができますか 1.はい 2.いいえ 5.銀行預金・郵便貯金の出し入れが自分でできますか 1.はい 2.いいえ 知的能動性 (知的ADL) 6.年金などの書類が書けますか 1.はい 2.いいえ 7.新聞を読んでいますか 1.はい 2.いいえ 8.本や雑誌を読んでいますか 1.はい 2.いいえ 9.健康についての記事や番組に関心がありますか 1.はい 2.いいえ 社会的役割 (社会的ADL) 10.友だちの家を訪ねることがありますか 1.はい 2.いいえ 11.家族や友だちの相談にのることがありますか 1.はい 2.いいえ 12.病人を見舞うことができますか 1.はい 2.いいえ 13.若い人に自分から話しかけることがありますか 1.はい 2.いいえ 2

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