高齢者のおでかけによるQOLの変化と中山間地域のまちづくり方策に関する研究
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5.中山間地域の交通まちづくりに向けて(まとめ) まとめ 5-1.本稿では、豊田市石野地区を対象として実施したヒアリング調査の結果から、①生活動作能力への影響要因の確認、②生きがい意識への影響要因の確認、③楽しみの分析、④就労意向に関する分析、⑤地域振興への参画に関する分析を行った。 ①生活動作能力への影響要因の確認、②生きがい意識への影響要因の確認では、既存の調査項目を活用して、当該能力や意識に影響する要因を明らかにするため多変量解析(数量化Ⅱ類)を用いた分析を行い、性別・年齢・キャリア・自動車運転有無などとの関連性を概観した。 ③楽しみの分析では、高齢者が楽しみと感じている内容について詳細に把握し、居住地域・年齢とのクロス集計分析、生活動作能力や生きがい意識との関係性を分析した。その結果、年齢が高まるにつれて活動場所が狭まり、楽しみの数が多い人ほど生活活動能力や生きがい意識が高いことを明らかにした。 ④就労意向に関する分析では、現在仕事をしている高齢者や仕事をしたいと思っている高齢者に共通する要因として、「社会的ADL」「未来に対する姿勢」の高さが明らかとなった。さらに、⑤地域振興への協力意向の分析と就労意向との関連性はなく、協力者は「何か新しいことを学んだり、始めたいと思う」「こころにゆとりがある」「自分の存在は、何かや、誰かのために必要だと思う」が高い傾向を明らかにした。 昨年度実施したアンケート調査において、「ボランティア輸送への協力意向」を調査した結果、運転手として21名、運行計画や管理に10名の方が協力できると回答している。本研究の成果を踏まえると、ボランティア輸送など具体的な取組みが提示されれば、生きがい意識の高い方、特に「何か新しいことを学んだり、始めたいと思う」「こころにゆとりがある」「自分の存在は、何かや、誰かのために必要だと思う」意識が高い方から協力を得られる可能性は高く、地域交通と生きがい創りを結び付けた交通まちづくりの素地を確認することができた。 中山間地における地域公共交通整備の方向性 5-2.(1)高齢者の移動実態 豊田市の中山間地域における高齢者モビリティの実態を把握するため、旭地区・小原地区・石野地区を対象に実施した昨年度の調査結果を基に、高齢者の移動手段を整理する。 1)自動車運転の有無 自動車の運転有無について、地区別に集計した結果を図 5-1に示す.回答者の約70%が自家用車を運転しており、地区別に運転割合の差は認められてない。運転していないの理由のうち、45%ほどが「免許を取得していない」である。 39
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