高齢者のおでかけによるQOLの変化と中山間地域のまちづくり方策に関する研究
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1) 居住地別の「楽しみの数」の集計分析 宅地造成された住宅地と農山村集落の高齢者ではキャリアや生活実態が異なる。農山村地域に比べて都市部、農業就業者に比べてサービス業就業者の方が、対外的な人や社会との繋がりが多くなる傾向があるため、「住宅地の高齢者の方が、楽しみが多い」という仮説のもと、居住地別年齢構成別に楽しみの数のクロス集計分析を行った。 図 4-8に示している集計結果をみると、山間地の後期高齢者・山間地の前期高齢者・住宅地の後期高齢者・住宅地の前期高齢者の順に楽しみの数が多くなっている傾向が確認できるものの、χ2検定の結果、居住地別、居住地内年齢構成別に統計的な差は確認されなかった。 図 4-9 居住地別・年齢別 楽しみ数(χ2検定:p=0.197) 2)生活動作能力・生きがい意識との関連性 楽しみの多さと、生活動作能力及び生きがい意識との関連性を分析する。方法は、地区全体の高齢者の楽しみの数が平均で2.6であるため、楽しみの数が3つ以上の方を「楽しみが多い群」、楽しみの数か2つ以下の方を「楽しみが少ない群」と定義して、生活動作能力得点及び生きがい得点の平均値の差の検定を行う。生活動作能力得点の集計結果を図 4-10、生きがい得点の集計結果を図 4-11に示す。 生活動作能力得点と楽しみの数との関連性は、手段的ADL・知的ADLには差がなく、社会的ADL・高次ADLに得点の差が認められた。すなわち、楽しみの数が多い人の方が、生活動作能力が全般的に高く、友人宅を訪ねる・相談にのるといった社会的ADLが高い。生きがい意識との関連性は、楽しみの数が多い人の方が「未来に対する積極的・肯定的姿勢」「自己存在の意味の認識」「生きがい総得点」が有意に高い。 022047961311113642254393243040200%20%40%60%80%100%前期高齢者後期高齢者前期高齢者後期高齢者山間地住宅地なし楽しみ1つ2つ3つ4つ5つ6つ 27

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