シームレスな移動を支援する極小パーソナルモビリティに関する研究
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62-2.高齢者のモビリティ 2-2-1.新しいPMに関するレビュー 豊田都市交通研究所では、これまでにもPMに関する研究を実施してきた。平成21~22年度に行われた「交通イノベーション・産業イノベーションの実現化に向けての基礎調査」(参考文献 2-3)では、PMを高齢者の移動手段確保を含めた様々な交通課題を解決する可能性を持つものと位置づけ、社会への導入に向けて、①PMの市民への周知を通じた、②PMに対する市民意識(受容性)の把握、および、③PMの導入事例調査を行っている。それらの結果を踏まえ、④PM導入に向けた法制度・インフラのあり方の提案を行った。 その中で、立ち乗り型と座乗型の2種類のPM(図 2-4)について、試乗体験イベントの場を活用して見学者やPM試乗者に対してアンケート調査を実施している。市民のPMに対する意識を分析した結果、PMの利用場面について、立ち乗り型と座乗型とで利用場面に対する意識が異なっており、立ち乗り型では比較的短距離の日常から非日常までの用途を意識していること、そして、座乗型では高齢者や障がい者等の移動支援や日常的な用途を意識していることを明らかにしている。また、試乗体験はPMに対する乗車意欲や購入意欲の向上に肯定的な影響を与えるとともに、運転操作に対する意識に肯定的な影響を与えること等を明らかにしている。 図 2-4 試乗に用いた2種類のPM 試作段階ではあるが、最近では、さらに新たなPMが発表されている。COCOA MOTORS.株式会社のWalkCar[ウォーカー](図 2-5)というPMは、本体がノートPCサイズで、カバンに入れて携帯できる世界最小の電気自動車をうたっており、非常にインパクトが大きい。仕様の詳細は明らかにされていないが、立ち乗り型のPMであり、行きたい方向に体を向けるだけで、自由自在に操作[カーブ/アクセル/ブレーキ操作]できる(参考文献 2-4)。

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