シームレスな移動を支援する極小パーソナルモビリティに関する研究
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9 2-2-2.高齢者の移動手段確保とQOL 高齢者ドライバーにとって、運転能力の低下等により、運転断念、免許返納の決断とそのタイミング、さらに、その後のモビリティ確保は大きな課題である。 青野、原田(参考文献 2-9)は、今後、増加する大都市近郊の高齢者運転車が望む時期に安心して運転を断念できる環境整備のための施策について、その効果や影響を評価するための調査ツールを構築し、施策の受容性や運転断念に対する意向への影響を検討した。その結果、現状では、できるだけ長く運転を続けると回答する調査対象者が多い一方で、「歩いて暮らせるまち、オンデマンドバス、超小型EV/PM」といった施策を実現できれば、高齢者が安心して運転を断念できる環境整備に貢献する可能性があるとしている。 高齢社会に対応した交通体系のあり方やコミュティ形成のあり方を考える上で参考になると思われる具体的な取り組みとしては、「岡山県赤磐市桜が丘地区ニューモビリティ導入事業 住民と共に進めるモビリティによるコミュニティづくり」(参考文献 2-10)があげられる。岡山県赤磐市の桜が丘地区は、1974年頃から、中心市街地から離れた郊外の丘陵地に造成されたニュータウンである。整備から40年が経過し、住民の高齢化も進んでいるが、坂道が多く、公共交通の利便性も低いことから、クルマがないと生活が不便な地区であり、免許返納後など将来の移動に不安を感じる住民が多い。 図 2-9 桜が丘地区ニューモビリティ導入事業の目的(参考文献 2-10)

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