豊田市でPHVを導入するメリットに関する実証的研究
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2 一方、EV、PHV、FCVの中では、PHVは今後特に期待される次世代自動車であると考えられる。その理由は、まず、外部電源から充電できるタイプのHEVであるPHVは、走行時にCO2や排気ガスを出さないEVのメリットとガソリンエンジンと電気モーターの併用で遠距離走行できるHEVの長所を併せ持っていることである。また、PHVへの燃料供給は、従来ガソリン車のようにガソリンスタンドで給油することのみならず、EVのように公共充電ステーション又は自宅の充電スタンドで充電することも可能であるため、大変便利である。このように、PHVの普及によりCO2排出量やランニングコストが大幅に削減できることが期待されている。 PHVを普及させるために、その導入メリットを分かりやすく見える化し、地方自治体でPHVの普及方策の策定や利用者のPHV購入行動の促進につなげてゆく必要がある。また、個々の利用者の自動車利用パターンの違いにより導入効果は大きく異なるため、導入メリットを評価する際に、利用者個人の自動車移動パターンを考慮することは不可欠である。 そこで、本研究は、利用者個人の自動車移動パターンを考慮した上で、PHVの導入メリットに対する評価手法を提案するとともに、その導入効果を明らかにすることに着目している。研究の成果は、PHVの普及推進方策の検討や利用者のPHV購入検討に活用できる有意な基礎資料になると期待されている。 1-2. 研究の目的 本研究は地方都市である豊田市を研究地域として、PHVの実走行のプローブデータや第5回中京都市圏パーソントリップ調査データを用い、PHVの導入メリットとしてのCO2排出量削減効果やランニングコスト節約効果を検証することを目的とする。 本研究の特徴は、三つ挙げられる。一つ目は、実走行データからPHVの電費・燃費の推計式を作成する点であり、公表されているカタログ電費値、燃費値を用いる評価結果に比べてより正確であると考えられる。二つ目は、平成23年に行われた第5回中京都市圏パーソントリップ調査データに基づき、最新の豊田市民の自動車移動トリップを用いる点である。三つ目は、カーナビプローブデータを用いた最適経路検索アルゴリズムを、移動経路情報が含まれていないパーソントリップ調査データに適用し、自動車の移動トリップに関するより詳細な情報(移動距離、移動時間、移動平均速度)を付加している点である。 1-3. 報告書の構成 本報告書は本章を含め全5章で構成される。第2章以後の構成は以下の通りである。 第2章では、PHVの電費・燃費推計式の作成に焦点をあて、PHVの実走行プローブデータに基づき、重回帰分析モデルを用いた推計手法について述べた上で、トリップの平均速度、気温、起点と終点の高低差がPHVの電費・燃費に与える影響を分析する。 第3章では、豊田市民の自動車保有行動の特性に焦点をあて、第5回中京都市圏パーソ

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