豊田市でPHVを導入するメリットに関する実証的研究
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27 図4-11に示す。 (a) PHV (b) HEV 図4-11 ガソリン車と比較した追加イニシャルコストの回収年数(単位:年) PHVの追加イニシャルコストの回収年数について、藤岡以外の旧町村地区では、回収年数は最も短く、概ね1-2年である。一方、旧豊田市の中心地では、回収年数は最も長く、概ね3年を超える。 また、HEVの追加イニシャルコストの回収年数について、藤岡以外の旧町村地区では、回収年数は最も短く、概ね1年以内である。一方、旧豊田市中心地の一部では、回収年数は最も長く、大よそ2-3年である。 PHVとHEVの追加イニシャルコストの回収年数の比較を通して、車両販売価格がより高いPHVはHEVに比べて、回収年数は1年長くなるのみであることが分かる。その理由は、PHVの購入者に対する国や地方の補助金や税制優遇措置はPHVの回収年数に与える影響が大きいと考えられる。また、図4-10に示すように、PHVの導入により藤岡以外の旧町村地域では、ランニングコストの削減額がより高いため、旧豊田市に比べて、そこでの居住者はガソリン車と比較したPHV追加イニシャルコストがより早く回収できると考えられる。このように、PHVの導入は藤岡以外の旧町村地域での居住者に対する経済的なメリットが大きいことが分かる。 4-5. 4章のまとめ 本章では、豊田市でのPHVの導入によるCO2排出量や自動車利用のランニングコストの削減効果を検討した。評価手法の特徴は、三つ挙げられる。一つ目は、実走行データからPHVの電費・燃費の推計式を作成する点であり、公表されているカタログ電費値、燃費値を用いる評価結果に比べてより正確であると考えられる。二つ目は、平成23年に行われた第5回中京都市圏パーソントリップ調査データに基づき、最新の豊田市民の自動車移動トリップを用いる点である。三つ目は、カーナビプローブデータを用いた最適経路検索アルゴリズムを、移動経路情報が含まれていないパーソントリップ調査データに適用し、自動車の移動トリップに関するより詳細な情報(移動距離、移動時間、移動平均速度)を付加している点である。

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