豊田市でPHVを導入するメリットに関する実証的研究
14/35

11 3. 世帯の自動車保有行動の特性に関する検討 3-1. 検討の目的 次世代自動車には、EV、HEV、PHV、FCVなどの種類があり、世帯の保有している自動車の種類に応じて、転換される次世代自動車の種類も変わっていくと考えられる。例えば、軽自動車を保有する世帯では、車両価格の問題が解決されれば、小型のEVに転換する可能性が高いと考えられる。同様に、乗用車を保有する世帯では、車格や走行距離の関係により、HEV又はPHVへの転換可能性が高いと考えられる。そのため、次世代自動車の普及推進方策を策定するために、世帯の自動車保有行動分析に関する検討を行う必要がある。 世帯の保有している自動車台数及び車種分析に関する既往研究では、非集計モデルである離散選択モデルを利用したケースが多い。具体的な研究手法としては、車種の保有行動を表現できる離散選択モデルを用いた推定結果より、世帯属性・地域属性・車格などの要因が保有している車種に与える影響を分析したものである。既往研究が用いた離散選択モデルは、主にオーダードレスポンスモデル1) ~ 4)とネスティッドロジットモデル1)、5)2種類に大別できる。 本章では、パーソントリップ調査データを用い、豊田市民の自動車保有行動分析を行うとともに、名古屋市民の自動車保有行動分析の結果と比較し、豊田市と名古屋市の市民自動車保有行動の共通点と相違点を明らかにすることを目的とする。 そのため、第5回中京都市圏パーソントリップ調査データから得られた世帯属性データと、パーソントリップに定められた小ゾーンを集計単位として、人口密度や鉄道駅密度といった地域属性データを作成し、両市での世帯の自動車保有情報に関するサンプルデータを、それぞれ2変量のオーダードプロビットモデルに適用する。モデル推定結果を比較し、両市での自動車保有行動の共通点と相違点を検討する。なお、本章の用いた2変量オーダードプロビットモデルは、通常のオーダードプロビットモデルの拡張である。二つの被説明変数(軽乗用車の保有台数と乗用車の保有台数)を対象として、二つの誤差項がお互いに相関を持つ2変量正規分布に従うと仮定したものである。 3-2. データの整理 本章では、世帯自動車保有行動分析モデルを構築するためのデータとして、平成23年に中京都市圏を対象として実施された第5回パーソントリップ調査データを用いる。その調査対象者は、調査対象地域である愛知県、岐阜県南部、三重県北部の96市町村の居住者から無作為に選ばれた約45万世帯の構成員(5歳以上)の全員としていた。本章では、そのうち、豊田市の14,855世帯、名古屋市の36,243世帯のデータを用いる。

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る