走行実態に基づいたスマートドライブの提案に関する研究
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69 4-5.おわりに 本研究では、エコドライブ施策によるCO2削減効果について、速度抑制および加速度抑制、さらには両施策を併用する施策について交通量による効果の違いを明らかにするとともに、加速度抑制施策の実施車と同じ効果を示す貨物車が混入した際のCO2削減量と波及効果について、定量的評価を実施した。結果として、以下のことが明らかとなった。 ① エコドライブ施策のCO2削減および波及効果のためには、速度抑制が最も重要である。対象区間における昼間交通量レベルでは、加速度抑制施策を実施しなくても速度抑制のみで両施策を実施したときと同様の削減効果が得られる。 ② エコドライブ車の混入は、混入率が低いときでも一定量の交通流があれば、交通流全体の平均速度を低下させることで相乗効果により大きなCO2削減が得られる。混入率が高くなると相乗効果は薄れていくため、削減率は小さくなる ③ 道路区間内では、特に発進・停止の機会の多い交差点においてCO2排出係数が高い。しかしエコドライブ車の混入によりCO2排出が抑制されるのはむしろ交差点間である。 ④ 夜間では交通量が少なく、追い越しが容易であるため、昼間と比較して交通流全体の平均速度はそれほど抑制されないため、他車への波及効果は少ない。ただし、右折のための停止回数の減少によるCO2削減効果が期待される。 ⑤ 貨物車を混入させた際のCO2削減効果は、昼間交通量レベルに対して10%混入程度では交通流の悪化には至らず、混入なしの場合とほとんど変わらない。 今後は交通量が多い時間帯におけるCO2削減効果および波及効果についても考慮すると共に、貨物車のみならず、バイクや電気自動車等、さらなるモビリティの混入による影響を考慮する必要があると考えられる。 また、交通量や走行車種に加え、道路網構成がエコドライブ施策効果に及ぼす影響についても考慮する必要がある。本論文で対象とした区間は交差点間隔が比較的広く信号による停止も少なかったため、速度抑制による効果が高いが、交差点の間隔が狭く、停止回数が多い場合には、その分発進回数が増加するため加速度抑制による効果が大きくなると考えられる。そのためにも、一部区間でのみならず、大規模な道路ネットワークでのCO2削減効果に推計することが課題として挙げられる。我が国の道路ストックを交差点間隔と時間帯別交通量の両面から分類し、効果の高いエコドライブ施策の割り付けを調べることも重要である。 参考文献 参考文献 4-1 エコドライブ10のすすめ; https://www.env.go.jp/air/car/ecodrive/susume.html (アクセス日2014.11.30)

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