走行実態に基づいたスマートドライブの提案に関する研究
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2 1-2.スマートドライブに期待される役割 我が国の温室効果ガス排出量を1990年比で6%削減するという京都議定書第一約束期間(2008~2012年度)の目標が達成され、今後は、低炭素社会の実現に向けて、大幅な温室効果ガス削減を目指していく必要がある。 豊田市は、2009年(平成21年)に、低炭素社会の実現に向けて高い目標を掲げて先駆的な取組みにチャレンジする「環境モデル都市」に指定され、中期的(2030年)には30%、長期的(2050年)には50%の二酸化炭素排出削減(いずれも1990年度比)を必達目標としている。2030年の運輸部門の削減目標は40%という高い目標を掲げており、次世代自動車の導入支援、公共交通の利便性向上、小型電気自動車や電動アシスト自転車のシェアリング、エコドライブの普及推進等、様々な施策に取組んでいる(参考文献 1-1)、(参考文献 1-2)。 エコドライブ実践による二酸化炭素削減効果は10-20%(参考文献 1-3)といわれており、単体施策として40%削減という高い目標には到達しない。しかし、手軽に実践できる即効性の高さ、費用対効果の高さから、他の施策と組み合わせて広い普及を図ることで、高い削減目標の達成を後押しするツールとして期待されている。 なお、日本でエコドライブと言った場合、これまで重点的に推進されてきた「ゆっくりした発進」が強く連想される可能性がある。本研究では、「ゆっくりした発進」に限定することなく、地域に合致したエコドライブの方法を提案することを目指しているため、限定的な意味合いを避けるため、「スマートドライブ」という用語を用いることとした。 1-3.スマートドライブ普及の方向性 スマートドライブ普及の方向性は、図 1.1に示すように、大きく2つに分けて考えることができる。一つの方向性は、「ドライバー自身によるスマートドライブの実践」による普及であり、社会の取り組みとして、「普及啓発」やドライバーへ情報提供を行う装置の「車両への実装」などが行われている。もう一つの方向性は、「スマートドライブ支援システムの車両・社会インフラへの実装」による普及であり、社会の取り組みとして、燃費効率を高めるエコボタンの装備や、自動アイドリングストップ機構の装備など「車両への実装」が進められている。また、将来的には、路車間通信によってスムーズな信号通過を支援するシステムや、自動運転による効率的な運転支援システムが「インフラへ実装」されることが期待され、様々な研究・実証が進められている。 「社会インフラへの実装」は、より確実な普及効果が期待できるものの、社会投資が必要でありインフラ整備にも時間を要するため、本研究では、近い将来にスマートドライブの大幅な普及を目指し、二酸化炭素排出削減目標の達成を後押しするという観点から、「ドライバー自身によるスマートドライブの実践」による普及を対象とした。

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