走行実態に基づいたスマートドライブの提案に関する研究
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34 (5)運転操作の変化に関する考察 燃費改善効果の要因として、どのような運転操作の変化があったのかについて、アイドリング時の燃料消費量削減と走行時の燃料消費量削減に分けて考察を行った。 1)アイドリング時燃料消費量削減の要因 アイドリング時の燃料消費量を削減するためには、以下の3つの運転操作が考えられる。 ①運転開始時、エンジンを起動してからすぐに発進する ②運転中、信号待ち等でエンジンを停止する ③運転終了時、目的に到着したらすぐにエンジンを停止する そこで、①~③に関連した運転操作の変化を指標として、それそれ、エンジン起動から発進までのアイドリング時間、GVの手動アイドリングストップ実施率、目的地到着からエンジン停止までのアイドリング時間を算出した。 GVの手動アイドリングストップ実施率は、ターム1、ターム3ともに実施率が低く、実施率の変化もみられなかった。 GVとHEVのエンジン起動から発進までのアイドリング時間を、それぞれ、図 3.21と図 3.22に示す。なお、アイドリング時間は、各タームの1トリップあたりの平均時間とした。GVのアイドリング時間は、ターム1で13~741秒(平均133秒)、ターム3で13~59秒(平均26秒)であった。また、HEVのアイドリング時間は、ターム1で15~37秒(平均22秒)、ターム3で12~36秒(平均21秒)であった。GV2、GV3、GV5では、それぞれ、724秒、83秒、164秒と大きなアイドリング時間の削減がみられた。 GVとHEVの目的地到着からエンジン停止までのアイドリング時間を、それぞれ、図 3.23と図 3.24に示す。GVのアイドリング時間は、ターム1で16~1847秒(平均277秒)、ターム3で25~322秒(平均85秒)であった。また、HEVのアイドリング時間は、ターム1で32~137秒(平均64秒)、ターム3で25~114秒(平均63秒)であった。GV1では、1735秒と大きなアイドリング時間の削減がみられた。 以上から、燃費改善効果の内訳としてアイドリング時の燃料消費量削減の寄与が大きいGV2、GV3、GV5では、エンジン起動から発進までのアイドリング時間を短縮するという運転操作の変化が、また、GV1では、目的地到着からエンジン停止までのアイドリング時間を短縮するという運転操作の変化が、燃費改善効果の主要因であると考えられる。 また、HEV1とHEV6においても、エコドライブ効果の内訳として、アイドリング時の燃料消費量削減の寄与が大きかったが、アイドリングに関連した運転操作の変化はみられなかった。これらの改善要因の解明は今後の検討課題としたい。

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