走行実態に基づいたスマートドライブの提案に関する研究
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25 (3)実走行データを用いた評価結果 1)CO2排出量に与える影響評価 ゾーン30が導入され、規制速度30km/hが遵守されたと仮定し、走行時間、走行速度、CO2排出量の変化を評価した。「3-1-1 法定試験モードを用いた評価」と同様の方法で、プローブデータで得られた実走行速度パターンから、規制速度を遵守する走行速度パターンを作成するとともに、CO2排出量推計モデルを用いてCO2排出量を推計した。 評価結果を表 3.4に示す。なお、参考として、法定試験モードを用いた評価の10モードにおける変化割合を右列に加えた。30km/hの遵守によって、全走行データの走行時間は2,573秒から2,647秒へ2.9%長くなり、平均速度は14.2km/hから13.8km/hへ2.8%低下した。ただし、単位距離当たりのCO2排出量は164.4g/kmから159.9g/kmへ2.7%削減された。法定試験モードの10モードを用いた評価に比べると、走行時間の増加や平均速度低下の影響は少ない結果となった。 以上から、ゾーン30は生活道路の交通安全の観点から推進されているが、CO2排出量削減の効果も期待でき、環境の観点からも推進されるべきであると考えられる。 表 3.4 ゾーン30地域の実走行における30km/h遵守の影響 実走行 (オリジナル) ① 30km/h遵守 速度パターン ② 変化割合 (②-①)/① (参考) 10モード 変化割合 走行距離(km) 10.1510.15- - 走行時間(sec) 2,5732,6472.9% 5.9%平均速度(km/h) 14.213.8-2.8% -6.3%単位距離当たり CO2排出量(g/km) 164.4159.9-2.7% -3.5% 2)便益分析評価 一般に道路改良等の公共事業では、費用便益分析が行われている。本研究では、ゾーン30導入におけるCO2削減効果の位置づけを確認するために、次の4つの項目について便益分析を行った。 ・CO2削減価値

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