公共交通としてのタクシーの活用可能性に関する基礎的研究
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49筒井 事業者の規模が同じであれば金額水準は同じだと思うが、安いところは個人事業に近い小さな会社。そうすると適正な競争になっているかが難しい。 福本 タクシー会社はピンキリなので、正しく理解せずに積算している事業者はいないか? 筒井 間接、直接の比率が全然違う。 福本 本来かかる費用をよく理解せずに積算して、行政がその金額を真に受けて契約した結果、大変なことになるということはないか。 加藤 コミバスでも間違って入札したところはたくさんある。 デマンドの運行経費をどう出すかの研究がおもしろいかもしれない。デマンド交通の運行経費を算定する方法という意味だが、諸経費をどういう風に割り振るかということ。割り振るということは、空車利用であれば、稼働率が元々低ければ、それを使うので車両の経費を乗せなくてよいとか。運転手も遊んでいるので人件費も乗せなくてよい、という前提であればこういう経費になるが、増車してすべて割り付けなければならないのであれば全部乗せなくてはならないとか、回送などを含めた運行の仕方による運行経費を理論的に出したものと、実際がどう違うかを検証して、齟齬があると事業の持続可能性にどう影響があるかを考察すると、実務的にも理論的にもおもしろいのでは? 福本 タクシーの経費構造を明確にするところから始めないといけない。 加藤 タクシーは認可事業なので、やりやすい。 貸切バスはそこが大変だった。24年ぶりに調査を昨年した。そのときにタクシーはいつも出しているから良いと言われていた。 筒井 補助金との関係も大きく影響するので、本当は研究しないといけない分野。デマンドは4条事業なので、タクシー事業者も参入して補助金をもらいに行くとなると、乗用事業でかかっている経費と、乗合事業でかかっている経費を上手に切り分けて補助金申請を出さないといけないはずだが、社長や車両の経費をうまく切り分けられる事業者がどれだけあるかが難しい。 空車の活用の場合、空車の経費は乗用で担保するのか、乗合で担保するのか、1年間の投入時間を配分するなんてことができるのか、ということになる。 そう考えると、フィーダー補助に添付されている数字は正しいかどうか怪しくなってくる。 山田 タクシー車両を使ってデマンドに参入する場合、補助金をもらうとなると配分が必要になるが、事業者によって独自の配分基準を持っているのが実態。ある一定の基準を示してもらえれば検証ができるようになる。今は感覚的なものでやっている。 事業者の見積もりと、行政の積算が全く相容れない場合があるが、行政は横並びで近隣市町のものを参考にするが、事業者はプラスにならないと事業として

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