公共交通としてのタクシーの活用可能性に関する基礎的研究
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42意識もある意味では拡大していきたいと思っているのかどうかということだと思う。 そのためにはデータを活かしていかないといけない。 福本 タクシー会社さんは、自分の営業エリアの中で、自分がどういう位置にあって、他の会社が何をしているかということはよくわかっているのか? 山田 よく見ている。一番気にしているは稼働率。周りの需要動向を見ているということだと思う。 加藤 拡大か云々というのは、儲かっているからではなく、儲からないから拡大したいというのも、タクシーの場合はある。稼働率は低くても沢山出せば儲かる。それがタクシーのいけないところ。だからどんどん増やして際限がなくなってしまう。 むしろ、工夫すれば同じ1台でも利用が増えるという、稼働率を上げなければならない。そこをサボる人たちがどんどん増やすのでとんでもないことになってしまう。 福本 1台あたりの収入を増やすようにするか、とにかくばら撒くか。 加藤 ばらまくときに運転手さんの給料を最低賃金にしてしまえば、会社にはそれなりに入ってくるという考え。 福本 そういう意味ではさきほど樋口さんからあった、いろんな努力をして選ばれる会社になろうとしているかどうかということと、このあたりの話の相関を見れば何かあるかもしれない。 加藤 違う言い方をすると、この前向きというのは、何を高めるのを前向きと考えているか、ということになる。何の指標を重視しているのかが本質的かもしれない。お客さんの数そのものなのか、運転手の場合は距離というのもある。会社としては何を伸ばしたいのか、というのが面白いかもしれない。 玉木 時間あたりいくらという指標を見ていると、だいたい儲かるのが時間あたり2500円位じゃないかと。今協力しているこころタクシーは固定給なので、そのくらいだろうということになる。もう一つ、どうしても需要の埋まらない時間があって、朝の9~10時は何をやってもお客さんがつかない。その部分をいかに稼ぐかというのが、2500円以上行く秘訣なのだが、なかなかそれがうまくいかないので、8時間ベースで見ると1700~1800円にしかならなくて、事業採算上厳しい。空白のところを埋めないと赤字の拡大になってしまう。 福本 歩合だと関係ないが、固定だとそうなってしまう。 加藤 9~10はコミュニティバスが一番乗る時間。午後は全然ダメ。9~12の午前中に病院や買い物に行って帰ってくるのがコミュニティバスの利用。 福本 そうすると、コミュニティバスとタクシーの利用が違うということになる。日常病院や買い物に行くのにタクシーは使わない。タクシーはコミュニティバス

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