公共交通としてのタクシーの活用可能性に関する基礎的研究
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33関口 できれば根底にある仕組み。東大からもシステムが出ているようだがなかなか帯に短したすきに長しというところがある。仕組みを開発してインストールしてマネージしていくというのは小さなタクシー会社ではお金がかかって無理なので、それをどこかで開発してみんなで安く共有していくという、バックヤードを軽くするというのは絶対大事だと思う。それを地方の地域でも共有できるようになればいいかなと思っている。 山崎 その上でどうにもならない過疎地は行政が支援をしていくという 関口 プラットフォームがあれば、利用費だけですむようになるので、そうしないと難しいだろう。 玉木 筒井さんの言う限界集落、過疎地もだが、東京を考察していると中部圏はまた違った状況である。団塊の世代が年をとった時に高蔵寺ニュータウンの足などはこのモデルとはまた違ったものになると思うので、地域の実情に合わせた足の確保というのは大きな課題だろうと思う。 関口 地場のタクシー会社が地域の状況は一番良く知っている。どういうふうにつながっていったらいいのかが我々もわからない。 高蔵寺を見に行った。デイケアセンターとリハビリセンターがコンビニのように国道沿いにできている。それがみんな競争していて、送り迎えをやっている。そうすると、若い療法士はいろんなことをやらされて死にそう。給料は安い。これは続かないと直感的に思った。そういうのをいろんなサービスの組み合わせで変わっていけば良いと思う。 安藤 すごく理想に近いシステムだと思っているが、現実問題として2020年のオリンピックの話があったが、20年先どころか50年先に実現するかどうか、と思っている。根幹には文化とか慣習の違いがあるのではないかと思っている。海外の話があったが、日本には家の一部をベッドアンドブレックファストとして人に貸すという習慣はない。海外では当たり前だが、自分たちの空間を他人に使わせるということに抵抗がある。 UBERのようなシステムも、BMWの社内ではとっくの昔に実用化されている。トヨタに同じような社員のシェアリングを提案したことがあるが、却下であった。デンソーさんも実行できていないと思う。結局、自分の空間を他人と共有することを排除するイメージがすごく強い。みんなで子供を見守るというのもすごい理想だと思う。安全の仕組みをどうやって作るか。つい先日も保育士が子供を虐待したという問題があったが、このような仕組みをどうやって確保するか、社会全体の仕組みとすごく密接につながっていて、これが実現できたら完璧だと思っているが、実現に向けての課題があまりにも多いと思う。 関口 子育ては制度をどうこうしようという風には思っていないし、社会を変えてやろうとも思っていないが、そういうサービスを現実的にやろうとしている。こ

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