公共交通としてのタクシーの活用可能性に関する基礎的研究
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32術を需要変動に上手に組み込んで、かつ、日本的なサービスと日本的な安全安心も上手に仕込むことができたら世界のモデルになることができると思う。 おそらくアジアや中国は日本のモデルを真似せざるを得ない。北京では苦しくて息ができない状況で、10億人が車を使うなどはあり得ない。そうしたところで都市交通システム全体の中の一つのモデルの一つになるだろうし、人が人に提供するサービスの価値を高めるしか儲ける道はないと思う。 旅行業とどうやって組むかといった、付加価値の高いところとどうやって組むかということをこころタクシーと考えている。 海外のお金持ちで元気な人はバスに乗るが、元気じゃない人は1日6~7万円でハイヤーを雇う。そういうお年寄りを個別契約をして運んで、日本的なサービスも行うといったことをやってみようかと思っている。そうするといろんなノウハウが吸収できる。そういう異業種との組み合わせのチャレンジを考えている。 タクシー会社で旅行業の免許をとって、年寄りを温泉旅行に連れていくことで収益の柱にしているところがあるが、あれは正しい姿だと思う。 こころタクシーで今やっているのは、リハビリテーション施設が自前で車両を走らせて人を集めるのが大変なので、請け負って、運行計画を立てて人を集めるということをしているが、その帰りにお花見をしましょうとお年寄りに提案して、お花見のできるエリアに年寄りを有料で連れて行くことで収益を出すサービスを考えて、お年寄りには外にでる楽しみを提供し、我々は付加価値をいただくという提案をしている。 こころタクシーは流しをしていないので、タクシーといえるかどうか微妙ではあるが、そういうタクシーとハイヤーの中間にいるのでそういう企画を上手に作って、付加価値を上げたいと思っている。 システムオリジンなどとも一緒にやれないかと思っている。 筒井 都市部のマーケットと限界集落のような過疎地のサポートで全然論点が違うので、どちらに着目しているかということが気になって質問をした。 過疎地で運転手さんがいないような状況のところで移動をサポートするために自動運転システムを確立させておかなければならないと思っている。自治体からすると自動運転システムの車両を買い与えておけば、その地域は一応生活ができるということになるので、そういった事のほうが必要性が高いかなと思っている。 ただ、ビジネスモデルとして民間事業者の利益を追求するためには、都心である程度お金を払ってもらえるようなユーザーをどう開拓するかということはあるので、そちらの方に着目するというのは、それはそれで議論していけば良いと思う。

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