公共交通としてのタクシーの活用可能性に関する基礎的研究
33/74

31うことはメーカー側はわかっていない。技術先行できているが、生活者目線でどういうサービスが求められているかという視点に立って、技術を組み直す必要があると考えている。 最後に一言申し上げたいのは、自動運転ではおそらくできない。やっぱり人である。老人の介護の問題とか、かゆいところに手が届くサービスだとか、最後に人間がやらなければならない部分というのがあって、地域の見守りひとつとってもそう。色んなものが連携して協力していかないとそういう社会はできないが、最後のエンドの部分にいるのは人間だと思う。人間が人間として行動できるように仕組みやハードウェアで支えていくということが正しかろうと思っている。そういうふうに全部組み直していく必要がある。組み直していった時にメーカーが考えているものと違うものが発想できるのではないかというのがKIZASHIというプロジェクトである。社内でも自動車のない社会なんてという批判もあったが、ある部分ではそういうものがこれからの社会にインストールされないとみんな困るという疑問を投げかけている。 結局最後は人、人が人に何か付加価値を与える、提供するという行為をどうやっていろんなもので支えていったらいいのかということが発想なので、そういう意味で我々のチームは自動運転に否定的です。 山崎 中村文彦先生にシェアリングで、利用者の中から運転する人を決めるというビデオを見せてもらった。 玉木 UBERのようなものか? 関口 それはこのプログラムには必要なアイディア。今考えているのは、東京オリンピックで人が来るわけだが、タクシーや供給を増やしても終わった後に余ってしまう。昔のオリンピックのように成長経済であれば埋まっていくが、今は一時の需要が落ちた後に困ってしまう。 それをカバーするのは、今の話のような、一般の人が自分の車を使って、ボランティアで移動手段を提供するという仕組みだろう。どうマッチングさせるか、どうサービスを提供するか、どう安全を確保するかといったようなプログラムができてくるとすごくいいだろうと思う。そういうものを実現する手段としてUBERというものがある。Googleがすごく出資している。350億円のうち250億円ぐらいをGoogleが出資するとしていて、世界を席巻するだろうとGoogleは思っているようだ。 要は出会い系サイトと同じでマッチング。私は運転したい、私はどこからどこまで行きたい、それを予約と供給でマッチングさせて、予約側は運転手さんを選べて評価ができる。日本ではタクシーと位置付けられているが、アメリカやイギリスでは観光業として位置付けられていて、タクシー免許が必要ない。これが美味しいところみんな持って行ってしまう可能性があるが、こういった技

元のページ  ../index.html#33

このブックを見る